<この体験記を書いた人>
ペンネーム:とらとら
性別:女
年齢:53
プロフィール:アラフィフ兼業主婦。昔は子どもをつれてよくお祭りなどに行っていました。
私は今年53歳になる兼業主婦です。
これは私がまだ30代後半、現在19歳の息子が小学生だった頃の話です。
私は息子を連れて近所の秋祭りに行っていました。
私の住む地域では、それなりに大きな神社の五穀奉納祭で、当時はかなりにぎわっていたと思います。
神社の境内までの一本道には、たくさんの屋台のテントが連なっていました。
その一画で、息子とかき氷を食べていた私たちはとんでもない事件に遭遇したのです。
口を真っ赤にしながらイチゴのかき氷を頬張っていた息子が私の服を引き、「お母さんあれ見て」と呼び掛けてきました。
何かと思えば、ちょうど向かい側に店を出していたくじ引きの屋台のテントの横で、息子と同じ歳くらいの女の子が泣いていているではありませんか。
よく見ると、その子の母親らしき人(40代くらい)と、もう一人男の子(10歳くらい)を連れた女性(30代後半くらい)が言い争っているのが見えました。
様子を伺っていると、どうやら泣いている女の子が屋台で当てた景品を、男の子の母親が「これは私の子どもが当てた物よ!」と言って無理やり持っていこうとしていたようです。
私も最初から見ていたわけではないので、本当にどっちが当てた景品なのかは分かりません。
自分の子どもと同じくらいで、しかも女の子が泣きじゃくっている姿は忍びなかったのですが、知り合いでもないのでここは迂闊に口を出してもなと、私はそのままどうなることかと見ていました。
お祭りに来ていた他の人も、その親子たちの様子を見ていて周囲はちょっとした人だかりに。
「返して!」と景品に手を伸ばして泣いている女の子を、男の子の母親が「いい加減にしなさいよ!」と手で払おうとした瞬間に事態は急展開しました。
「ママ! いい加減にして! 僕ハズレだったんだよ」
男の子が大きな声でそう言ったのです。
みんな(え!?)とびっくりして、視線を男の子の母親に向けました。
それに気づいて気まずくなったのか、男の子の母親は急に顔を赤くして景品を女の子に押し付ました。
そして「もういいわよ!」と叫ぶように言うと、男の子の手をとって立ち去って行きました。
泣きすぎてひっくひっくと肩で息をしていた女の子がかわいそうでなりませんでした。
その後、女の子が母親らしき女性に「たこ焼き食べようね」と言われて頷いたのを見て、私も周囲もほっと息をつきました。
他人の子どもが当てた景品を奪い、それを自分の子どもに与えようとするなんて...とんでもない親もいるものだと思いましたが、子どもに諭され、真っ赤な顔で立ち去る姿に少しスカッとした経験でした。
関連の体験記:新幹線の私の席を占領する非常識親子。「うちら親子なんやから空気読んでよ」って何言ってるの?
関連の体験記:なぜ⁉美容師の夫の店でバイトする娘が「親友に無料でトリートメント」した結果、大問題に...
関連の体験記:尊敬する職場の先輩からの指摘で迷いが...。義母に頼まれる「妊娠中の義妹の病院送迎」
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。