<この体験記を書いた人>
ペンネーム:かっちゃん
性別:女
年齢:42
プロフィール:3児の母です。双極性障害をもつ66歳になる実母がいます。
私は母が24歳のときに出産した一人娘です。
母は18歳のときに双極性障害と診断されました。
双極性障害とは、簡単に言うとテンションが高い状態と低い状態を行ったり来たりしているような症状です(個人差があるので一概には言えませんが...)。
母は気分の上がり下がりを交互に繰り返すタイプで、私を出産してからも感情の起伏に翻弄される日々をすごしていました。
母が40歳のときに、私は高校へ入学。
そんな母をずっと見てきた私にとっては、気持ちのアップダウンの激しい母が「普通の母」でした。
16歳という子どもの私ではありましたが、この頃には母が私を頼って相談するという、親子逆転の構図ができつつありました。
そんなある日、学校から帰宅すると、母が無気力そうにうつむき加減で座っています。
「また、具合が悪くなるのかな...」
心の中で思いながらも、口では「なんかあった?」極めて軽く声をかけました。
すると母は「ご近所全員でママの悪口言ってるのよ」と真顔で訴えてきます。
「そんなことないでしょ。何でそんなふうに思うのよ」
そこからは、母の被害妄想ワールド全開です。
「〇〇さんが、こちらを見ながら〇〇さんと話をしていた。きっと私のことを言っているに違いない」
要約すると、そういった内容ですが、次から次へと話は飛躍していきます。
どうアドバイスをしても、思い込みだと説明しても、母の疑念をクリアにすることは当時の私にはできませんでした。
「一生懸命説明しているのにどうして分かってくれないんだろう」
そう言って悲しそうにしていた母に対し、私は怒りにも似た気持ちを感じてしまい...。
「ママみたいにストーリーが湧いて出てくるなら、泥沼系ドラマの脚本家になれるね! すごすぎる」
そんなことを言って、冗談交じりの笑い話にしていました。
怒りを通りこして、あきらめもあったのだと思いますし、16歳の少女にしては頑張ってなんとか母を元気づけようとしていたのだと思います。
あのときの母と同年代の42歳になる今であれば、「事実と感情をごちゃまぜにしないで」とシンプルに言ってあげられる気がします。
〇〇さんが母を見ていたのは事実でしょう。
しかし、悪口を言っていたというのは母の思い込みです。
おそらく過去に似た経験があったのでしょう。
受け売りではありますが、白紙を2分割にして「事実」「感情」と出来事を分けて書き出すと効果があるそうです。
あのときの母で言えば、〇〇さんが母を見たことは「事実」、悪口を言っていたというのは「感情」、分けて書くことで自分自身を客観視できるのでしょう。
いずれにしても、優しく理論的に説明してくれる人が当時の母の近くにいたら良かったのにな、と思い出しています。
一方で私自身が「悩みを解決してあげられなかった」という罪悪感を消化できずに今までいたようにも思います。
当時の話を思い出して「よく頑張っていたね」と自分を見つめ直すことができました。
母とのエピソードを振り返りつつも、改めて「過去に囚われず今を生きよう」と感じています。
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