<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ウジさん
性別:男
年齢:59
プロフィール:ワクチン接種後の待機の時間が待てないほど忙しい人がいることをつい最近知りました。
2021年9月初めのことです。
町役場の広報課に勤めている私は、町の公民館にいました。
取材ではありません。
そこは町のワクチン集団接種の会場で、私は応援部隊として作業をしていたのです。
「まあ、しがない宮仕えですからね...」
と少々ぼやき気味でした。
2回の接種を終えて2週間を経過した職員は、本務に影響しない範囲でサポートに入ることを告げられたのは先週のことです。
「本務に影響しないったって、今できない分の仕事は後でやることになるんだからねえ...」
担当するのは接種後の待機観察場所の管理でした。
接種を終えた方に順番に座っていただき、15分間いていただくのが仕事です。
もう1人の20代の女性職員と一緒に、のんびり話し込んでいるおばさんたちに「時間ですよ」と声がけする方が多いぐらいで、のんきな職務と思っていました。
「すぐ職場に戻らんとならんのでね!」
そんな待機場所の出口付近で野太い声が響きました。
そちらに目をやると、女性職員が40代後半と思しき男性と向かい合っています。
「でも決まりなので...」
「あんたみたいな若造に指図される必要はない!」
低姿勢に対応している彼女に、息巻いて出ていこうとしているのです。
あまりにも居丈高な態度に、少々高ぶりながら割って入りました。
「ご自身の安全のためです。15分だけここでお待ちください」
「その15分に仕事の問い合わせが入ったらどうしてくれるんだ? 責任取れるのか?」
意識して落ち着いて諭したのに、食って掛かられる始末です。
「しかしこれは規則ですから。接種の案内にも書いてあったはずですが...」
「そんな規則、そっちが勝手に決めたんだ! 人の行動を制限する権限なんかあんたがたにはない!」
「医学的な知見に基づいているんですよ」
「接種を受けるかどうかも自由なんだから、受け方だって自由なはずだ! 仕事が優先なんだよ!」
押し問答に相手の声もだんだん声も荒ぶってきます。
「万一のことがあったらどうするんですか」
「ハハッ! 万一があるのはこっちだろ? 本人がかまわないと言ってるんだから、あんたの知ったこっちゃないんだよ!」
ここまで言われてプツンと切れました。
「じゃあ好きにしたらいいでしょう!」
ルール違反とは思いましたが、つい言ってしまいました。
「ああ、そうさせてもらうよ。まったく、はじめからそうするって言っとるのに...」
相手は憤懣やる方ない感じで去っていきました。
「...すみませんでした。私がはっきり言えなくて」
気の毒に、女性職員も申し訳なさそうです。
「いやあ、あなたが悪いわけじゃないし」
「...でも結局10分以上ここにいらっしゃいましたよね、あの方...」
確かに時計を見ると、けっこうな時間、言い争っていました。
どうせこうして時間を使うのなら、ルール通り待っててもらった方がお互いよほどいい気持ちなのになあ、と腹立たしい思いがまた湧き上がっていました。
関連の体験記:アラフィフ主婦の「コロナワクチン接種」体験記。1回目の副反応は意外な結果に?/中島めめ
関連の体験記:ワクチン接種を拒否して「孫に会いたい」って...病院嫌いの母親につける薬、誰か知りませんか?
関連の体験記:子どもたちに「出かけたのならPCR検査を受けろ」。コロナの恐怖で性格まで変わってしまった夫
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。