「ラジオでうちがゴミ屋敷って言ってた」幻聴から始まった母の精神疾患

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ペンネーム:OTAFUKU
性別:女
年齢:49
プロフィール:私の実家で82歳の母と同居中。重い障害を抱える子を含め高校生と中学生の2人の子持ちです。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

結婚して以来、母とは実家で同居しています。数年前、76歳だった実父が末期癌と診断されました。家族にとってはあまりにも突然のことで現実を受け止める間もなく、日に日に弱っていく父を母と二人で必死で看病しました。
その父を亡くして半年後、今度は母に癌の疑いが発覚し入院。生活全般に介助が必要な障害のある子も含め2人の我が子の世話をしつつ、仕事をしながら病院に通い続ける毎日は本当に大変で、その頃のことは正直あまり覚えていません。

母は私を気遣い「毎日来なくていいから。あの子達に美味しいご飯作ってあげなさい」と孫のことをとても心配していました。
幸いにも母はオペを経て体調も安定し、退院。「これでやっと家族皆が落ち着いて生活が出来るな」と本当に安堵したのを覚えています。

ところが、です。

80歳を迎えたある日、いきなり母が精神に異常をきたしました。
突然、私に『近所の○○さんが、お宅の家の中がテレビで放映されるからって言ってた! 目の前で言われた!』と言い始め、またある時は『ラジオでうちのことをゴミ屋敷ですねって言ってた』と現実では有り得ないことを訴えてくるのです。当然本人にとってはどれも現実に起こった出来事だと認識しているようで、いくら私が否定しても聞く耳を持たず、その症状はどんどん加速していきました。
色々な人に電話をし「家はもう破産だからね」「私のことがテレビで放送されたら皆に迷惑がかかるけどごめんね」と言い続け、心配した方々から確認の電話が鳴りやまない毎日。
気持ちが落ち着かず、一日中家の中をウロウロし続け夜中に唐突に掃除を始めてみたり、歩いている途中でいきなり床に寝転んだりと奇妙な言動を繰り返し、夜も睡眠がとれていない母はどんどんやつれていきました。

私はそんな母の姿に絶望し、大声で怒鳴ってしまったこともあります。『全てを受け止めて受け入れる』なんて到底無理なことでした。

母のその言動から当初は認知症を疑い病院に連れて行こうとしても「私を病人扱いして!」と激怒し、頑なに拒否され続けました。それと同時に孫に対する言動が極端になり、障害のある子に対しては「こんな子! 自分では何も出来ないのに! この先どうするの!」と傍に寄ろうともしなくなり、もう一人の孫に対しては逆に執着が激しくなったようで子供の机の中まで逐一チェックしなくては気が済まなくなりました。

当然祖母の異変を感じている子供たちは祖母を怖がって嫌悪感を持ち始め、そんな孫を見て母の精神状態はまた悪くなるという悪循環。家族の間に立つ私自身がどんどん追い詰められていきました。ストレスが原因だと思われる頭痛と腹痛が続き、その頃の私と家の空気は本当にピリピリしていたと思います。

そんなある日の明け方、寝ている私を起こして「今すぐに洗濯して」と言われたことで私はやっと母を無理にでも病院につれて行こうと決心し、翌朝嫌がる母を無理矢理家から連れ出して飛び込みで心療内科に駆け込みました。

母は待合室で「私は大丈夫やから、もう帰ろう」と言うものの診察室に入ってもやはり同じような幻聴の話を落ち着きなくし続けました。

診察の結果は「認知症ではないと思います。精神疾患かな。この年齢で発症するのは珍しいけどね。ただ、今の段階で正式な病名をつけることは難しいです」と言われました。

母がしっかり睡眠がとれていないことが気掛かりだったので、ドクターと相談して服薬を開始しましたが、元々薬嫌いの母はなかなか飲もうとせず、そんな母の口を無理矢理こじ開けて薬を飲ませたこともあります。

しばらく服薬を続けるうちに母は落ち着きを取り戻し「○○さんに言われたことは現実じゃなかったの?」「我が家のことがテレビでゴミ屋敷って放送されてると思ってたのは嘘?」と言い始め、そこからは少しずつ元来の母の姿に戻っていきました。

孫たちも元々はおばあちゃん子だったのでその姿をとても喜び、家の中が明るくなっていきました。

ただ、未だに母はやはり少し不安定で服薬も続けています。

年齢的にもこのまま認知症に移行していってしまうのかな? とも思いますが、もしそうなったらその時にまた考えていこうと思います。

母の発病の切っ掛けが何だったのか。今となってはもう本人にもわからない位の些細なことなのかもしれません。

ただ私自身、親の老いと共に思いもかけない出来事が続く中でなかなか現実を受け入れられず、時には母にイライラをぶつけ、時には涙しながら過ごしてきました。
常態でない親を丸ごと受け止められるようになるまでには、やはりある程度の現実と時間が必要なのだと思います。
親の変化に対する心構えがあるようで実は出来ていないのが子の世代だと痛感した出来事でした。

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