ある日、お義母さんが
「これを買おうと思ってるんだけど...」
と、圧力鍋のパンフレットを持ってきました。
お義母さんは普段あまり「これがいい」みたいなハッキリとした意見を言う方ではなかったので意外でしたが、最近は体力が衰え料理を作る意欲も無くし気味だったので、私たちは購入に大賛成でした。
新しい器具を導入するにあたって皆でキッチンの棚を整理していたら、お義母さんが年季の入った無水鍋を出してきました。
お義母さんは思い入れがある様子で捨てるかどうか暫く悩んでいましたが、思い切って捨てる事にしたようでした。
私は夫とお義母さんのやり取りを見ながら内心「いいのかなぁ、後悔しないかなぁ...」と心配でしたが、私自身モノを捨てられない性格でそれが災いして部屋がガラクタだらけになってたので
「思い切りが大事なのかも。お義母さんの断捨離に口を挟んではいけない」
と、従うことにしました。
でも、その決断が後にずっと私の心をチクチクさせることになろうとは...
その後しばらくして注文していた圧力鍋が到着。
その圧力鍋はそこそこお値段がするだけあってかなりしっかりとしたシロモノ。
これならお義母さんもまた料理を楽しんでくれるにちがいない...!
...と、思いきや。
鍋は何日経っても箱に入ったまま。
使っている様子はありません。
不思議に思って聞いてみたら
というまさかのお返事。
私は「しまった!」と後悔しました。
お義母さんがまさか使わないなんて想定外でした。
...いや、考えてみたらわかることだったのです。
お義母さんはもともと変化をあまり好まない人です。
圧力鍋が昔使ってたのと想像以上に違い過ぎて完全に苦手意識をもってしまい
さらに、安心して使えてた無水鍋を捨ててしまった後悔で落ち込んでしまったのです...。
あの時やはり止めるべきでした。
捨てると言われてもこっそり隠すぐらいすればよかった...。
結局お義母さんはその後、圧力鍋を使うことなく家にある慣れた鍋を使っています。
仕方がないのでそのうち私が使おうか...と思っていたのですが(実は私は一度も圧力鍋を使ったことがありません...)、なんといつの間にやら夫が使いこなしてました。
夫、なかなかの腕前です。
これにはお義母さんも大喜び。
お義母さん、昔からひとのために作ってばかりだったから今度は食べる役目をゆっくり楽しんでくれたらいいな。
そして皆で買ったこの鍋を私たちが大切に使って次の世代に継いでいこうと思います。
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40歳で娘を出産。漫画やイラストを描きつつ、夫と慣れない育児に奮闘しています。義母と2匹の猫と同居中。オムニバス形式の出産育児コミックエッセイ集『うちの子の場合!』(KADOKAWA)に寄稿。
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