DVもあり、モラハラもあり、経済的DVもあった夫の元から逃げて9年目になります。
現在62歳で一人暮らし、スーパーでパートをしています。
別居してしばらくは、恐れと不安で、気持ちは不安定でしたが、長い時間をかけて、本来の自分を取り戻せた気がします。
【前回】8年ぶりに会った別居中の夫の「変わり果てた姿」。白髪で痩せこけた頬...まるで別人だった
先日、元わが家の近くを通りました。
バスの中から、遠巻きにでしたが、元わが家、つまり現在も夫が1人で住んでいる家を見ました。
あまりの荒れ放題の家の状態を見て、ショックを受けるとともに、いろいろ思い出していました。
元わが家は、夫の両親が建てた家で、築50年ほどたっています。
庭に、大きなビワの木があり、それが木造の家屋を覆っていました。
一階は昼間から暗くて、電気をつけずにいられなかったのは、この木のせいだと思います。
このビワの木のせいで、近所の方々とさまざまなトラブルがあったのです。
伸び放題の葉っぱと枝が隣の家まで侵入し、隣の奥さんがしょっちゅう苦情を言いにきました。
夫は、最初は謝っていたものの、そのうちが逆切れするようになり、「うるせぇ!」だの「女はでしゃばるな」だのと、モラハラぶりを発揮していきました。
隣の奥さんは、怖がって何も言いにこなくなったけれど、私は会っても無視されるようになっていったのです。
近所中で、夫は変人で有名だったようで、そんなことも知らずに結婚してしまった私です。
ボウボウに伸びたビワの木は、毎年5月には枝を大量に切って捨てていましたが、大変な作業でした。
毎年、汗だくになって怒鳴られながら、手伝っていた日を思い出します。
そして大量のビワがなる季節になると、これもまた作業が大変で、カラスが食い散らかし、落ちたビワを拾って捨てるのが日課になっていました。
ある日、近所のおばあさんが、落ちたビワを拾って食べていたのを目撃した夫は、激怒して「人の家のモノを黙って食べるな」と。
なんて心の狭い人なんだろうと思ったものです。
近所中で、嫌われ者になっていた夫、そのせいで私も孤立していくようになってしまいました。
会っても無視は、あたりまえだったのです。
家を出てから3年後くらいに、近所の方に偶然会いました。
何人かに会ったのですが、別居している事実を伝えると、みんな口をそろえて「良かったわね、逃げて正解よ」と。
「これであなたも幸せになれるわね」なんて、言ってくれた方もいました。
伸び放題のビワの木と荒れ放題の家、いつかは私が片づけることになるのか? そんなことを考えると、とても憂鬱になります。
家だけでなく、夫に何かあったら?と考えると、まだ籍が入っている私が面倒を見なければならないのかと、気持ちが重くなります。
いっそのこと、私の方が先に逝ってしまえばいいのだと考えたりする、でもそれは避けたい。
さんざん嫌な思いをさせてきた、子どもたちに迷惑をかけるからです。
元わが家の鍵は今も持っていて、いつでも入れる状態ですが、暗く、まるで悪霊でも住んでいるのではと感じる重い空気が漂っているので、できれば行きたくないのです。
そんなことも言ってられない日がいつかは来ます。
今年も大きなビワの木は、近所の方にたくさん迷惑をかけたのかもしれません。
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