DVもあり、モラハラもあり、経済的DVもあった夫の元から逃げて9年目になります。
現在、ワンルームマンションで一人暮らしをしています。
パートなので生活は楽ではないけれど、それなりに食べていけています。
夜に外出したり、時間を気にせずに出かけることができ、自由を満喫しています。
【前回】モラハラDV夫から逃げて「熟年別居」を決意するまで。経済的には大変だけど...私に後悔がない理由
昨年の暮れから、ずっと音信不通だった別居中の夫から、たびたび電話がかかってくるようになりました。
別居当時は怖くて仕方なかった夫からの着信ですが、今は怖くない。
でも、やはり嬉しくはありません。
いったい何の用があるの?という思いが強いです。
寒かった暮れの電話では「俺はもうだめだ」と泣き言を言っていました。
息を吸うのが苦しいらしい。
そして、築50年の家には帰らずに、車の中で過ごしていると聞きました。
何日もお風呂に入っていないから、車の中が臭いと言う。
夫は保険証を持っていないので、病院には行けません。
国保を滞納して、もう30年経つかもしれないです。
年金も未加入だったので、70歳の今、どうやって食べているのかまったくわかりませんが、細々と自営業を続けているのだと思います。
病院にも行けず、寒い空の下で車中生活。
いつ野垂れ死にしてもおかしくないと、その時は思いました。
夫にもプライドが残っているのか、お金のことはいっさい言いません。
まさか、私や子どもたちにたかるなんてことはないよね?と内心ハラハラしていたのです。
俺はもうだめかもしれないと言う愚痴の電話の後、再び着信がありました。
身なりが汚くて買い物にも行けないから下着を買ってくれないか、おまけにボロボロの作業着をぬってくれと言いました。
なんで私が?と思ったけれど、一応いいよと答え、さっそく下着を数枚購入し、夫から連絡を待っていたのです。
会う約束をしたのに二回もすっぽかされ、内心ホッとしている自分がいました。
それから半年。再び、夫からの着信。
「俺のキャッシュカード、持っていっただろう、返せ」ととんでもないことを言い出す。
妄想なの?なんだかわからないけれど、一方的にわめきちらしていました。
私が持っているわけないでしょ? と、何回も説明し、やっと電話をきりました。
今年8月、今度は弱々しい声で、「下着買ってくれたのか? 持ってきてくれないか?」と。
嫌だなという気持ちはあったけれど、夫と会う約束をしました。
商店街のコンビニの前で待ち合わせ、トラックの中で待っていた夫。
遠くから夫の車が見えてドキドキしたけれど、冷静を装い、車に向かいました。
運転席に座っていた夫は、まるで別人だったのです。
白髪の長髪で、頬はやせこけ、ごぼうのような細い腕をした老人がそこにいました。
まるで、浦島太郎。
変わってしまった夫を見て、すごくショックでした。
下着数枚と、家にあったお茶を渡すと夫は「ありがとう」と言いました。
同居中は、夫からありがとうなんて言葉を聞くことはなかったのに。
とくに会話もせず「じゃあね」と言って、その場を去ってから、私は涙があふれました。
8年の歳月が流れて、おじいさんになってしまった夫が憐れで仕方なく、夫から逃げだした罪悪感も感じてしまいました。
結婚してから受けたモラハラとDV、全部忘れたわけではないのですが、過去のことを全部許している自分がいます。
これも8年という月日が流れたから、許せたのだと思います。
その後、また着信。
今度は銭湯の場所を調べてくれと言う。
自宅に帰るようになったけれど、近所の銭湯には行きたくないそうです。
スマホで調べて、銭湯の場所を教えました。
夫は、新しい下着を手にして、銭湯に行く気持ちにもなったのだと、ホッとしました。
息子には、ご飯を食べに行こうと電話があったらしいです。
変わり果てた父親を見て、息子もショックを受けると思うのですが、父親に会うのは嫌ではないとのこと。
会わない方がいいのでは? と複雑な心境です。
- ※
- 健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
- ※
- 記事に使用している画像はイメージです。