<この体験記を書いた人>
ペンネーム:まさかず
性別:男
年齢:43
プロフィール:実家に帰るたびに「祖母と母の親子関係が悪くなっているのでは?」と心を痛める一人息子43歳。
都内在住の私(43歳)は、実家も車で1時間弱の距離にあり、月に1回程度で妻と子どもを連れて帰っています。
実家には、幼少の頃から一緒に暮らしていた祖母(94歳)と母(67歳・実の親子)が2人で暮らしています。
実家に帰るたび、母からは祖母の近況を、祖母からは母とのやり取りなどを聞かされます。
「△△さん(祖母の名前)はもう大分衰えているわね。話の内容もときどきおかしいの。本人はあまり自覚してないみたいだけど」
そう母が言ったかと思えば、祖母からは母の愚痴を聞かされます。
「最近、〇〇(母の名前)はすぐ怒るのよ。年寄りはもっと労わるべきなのに」
そんな会話が最近は多くなっています。
コロナもあって外出もままならないのか、お互いストレスも溜まっているようです。
特に祖母は母に遠慮しているのか、私が行くたびに、高い所の物を取ってほしいとか、買い物をして来てほしいなど、些細な雑用を頼んできます。
ここ最近はお願いされる頻度も増えてきました。
先日はこんなこともありました。
夕食の時間が近づき母親が準備をしている中、祖母が部屋から出てきて手伝おうとしたのです。
「そうだ。この前作ったアレがあるから、食べさせてあげよう。〇〇(母の名前)。アレ出してあげてちょうだい」
「うるさい! こっちは手を動かしているから忙しいの! 見れば分かるでしょ!」
「そんな言い方しなくてもいいじゃない!」
「じゃあ。代わりに作ってくれるの? できないんでしょ!? うるさいのよ!」
「...」
家族の私でもハラハラするような親子のやり取りです。
祖母は心配性な上に、相手に配慮なんてせずに思ったことをすぐ口にしてしまう、いわゆる一言多いタイプ。
一方、母は受け手の気持ちに配慮のない軽率な言葉は大嫌い。
私が実家で一緒に生活をしているときから二人ともそうでした。
祖母はすでに94歳。
加齢で心肺機能が弱くなり、常に酸素をチューブで吸引しており、家事もできなくなっています。
ただ、頭は元気なようで、以前と変わらず余計な一言を会話の中に入れてきます。
私も反抗した時期もあったものの、中学校時代は共働きで留守だった両親に代わり、毎晩夕飯を作ってくれた祖母には感謝しています。
年老いた祖母にそんなにキツく当たらなくてもいいのではないか? このままエスカレートし続けるのはマズいのでは? と考え始めていました。
そんな中、たまたま私だけで実家に立ち寄った際、偶然、祖母のケアマネジャーの方がいて、その方と母と私の3人で話す時間がありました。
「先日、夜中にピーピー音がするから起きて様子を見たら、酸素のチューブが途中で折れて機械が止まってたのよね。でも△△さん(祖母の名前)は全く気付かず寝てたのよ。私だって血圧高いから、もうイライラしちゃってたまらないわ」
「そうですね。奥様の体調も大事ですし、大変ですよね」
「そう。我が家ももう『老々介護』なの。私が先に倒れたらどうするのよねぇ」
実家に帰ると同居していた頃の若い感覚になってしまいますが、母も67歳です。
もう若くはない体で、毎日頑張って祖母の分も家事をしているのが事実です。
子育て真っ最中の一人息子の私に迷惑をかけないよう頑張ってくれているのだと、今さらながら気づきました。
祖母と2人きりの生活では、そんな愚痴を言う時間も取れないのかも知れません。
「結局、〇〇(母)がいないと私も生きていけないから。いろいろ言われるけど仕方ないのよね」
そう呟いた祖母の一言も頭に残っています。
愚痴聞き係が今の私の役目。
もう少し電話の頻度も増やして、祖母と母の話を聞くことが必要なのかもしれない、そんなことを考えさせられました。
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