性別:女
年齢:51
プロフィール:WEBライターです。仕事・家事に毎日奮闘中。日々の生活の中で感じたことを紹介します。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
◇◇◇
数年前、義父が他界しました。享年89歳。高齢者ながら元気だった義父の死に家族全員悲しみに包まれました。ただ、同時にみなホッとしてしまった苦い思い出でもあります。
その原因は、生前の義父の車の運転。とにかく毎日ひやひやさせられていました。
義父はおしゃれでダンディ。一見すると紳士的なおじいさんです。しかし、真実の姿は短気な乱暴者。しかも、体も大きくて空手の有段者。その自信が悪く働いたのか、人の意見にまったく耳を貸さない人でした。
そんな義父の性格は車の運転にも表われていて、交通ルールは守らない・気に入らない運転手にはだれかれかまわず喧嘩を売る・窓を開けて怒鳴り散らすなど、困った運転は数知れずといった状況です。
そんな義父が70代後半になった頃からは、少し運転が怪しいのでは?という出来事がいくつか見られるようになりました。ドアが閉まる前に発進したり、不注意で義母の足を轢いたり(もちろん義母は骨折です)、大小関係なくミスを繰り返すようになりました。
これは危ない!と、家族会議。家族の総意は免許返納と決まりました。しかし、どうやって実現させるのか、これが途方もない問題として立ちはだかりました。
そんな時には義父の天敵であるわが夫の出番です。理性的にやり込められるので義父は夫をもっとも苦手としていましたし、力でも夫が義父に勝っています。
家族+義父で話し合いを持つことになりました。その場で夫から単刀直入に義父の運転の危うさと、免許返納の必要性を諭したところ、最初は無視。そして、笑ってごまかす作戦に出てきました。
それでも夫が本気だという態度を崩さなかったので、今度は激怒。さすがに家族に手はあげませんが、物にあたって大暴れ。今度はこっちが無視する番です。義父の大暴れの嵐が去るのを待つことにしました。
少し落ち着いたころを見計らって、車が必要な理由を聞くことに。もちろんそれでOKということではなく、私たちがサポートできるかどうかを判断するためです。
そこで義父が語ったのが、買物や通院などの実際の生活にどうしても必要だということで、これはもっともな言い分。そこで、私たちがサポートすることを伝えると徐々に言い分に変化が現われました。
今度は、車を買い替えたばかりだからとか、自由に行動したいとか言い出し、結局「車が好きなので自分で運転したい!」と子供のような理由を伝えてきました。
その挙句、「これまで車の運転で人に迷惑をかけたことがないので、つべこべ言うな」と捨て台詞を残し、「車」で出て行ってしまい、話し合いはあえなく強制終了です。
その後は、毎日話し合いに出向く、夫が車のカギを預かる、警察に免許の更新をストップできないかと相談に行くなど、あらゆる方法を試しましたが、「車に乗る!」という義父の強い気持ちの前になすすべはありませんでした。
結局、義父と夫の戦いは10年間続き、皮肉にも義父の死で終わりを告げました。本来、家族の死で安堵するなど論外。ですが、誰かの大切な人を殺めなかったことに感謝したのは事実でした。
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