240社に応募して面接はたったの5社!50代での転職で学んだこと

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ペンネーム:きんたろう
性別:男
年齢:55
プロフィール:平日は仕事、週末は家でのんびり、特にこれといった特技もなく、でもそんな人生が楽しいと思う50代サラリーマン。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

30年という長い時間を過ごした会社を辞める決断は、意外にもあっさりしたものでした。

私が勤めていた大手家電メーカーは、60歳で再雇用を望めば、65歳まで働くことができますが、年収がそれまでの3分の1程になってしまいます。それは私たちの世代が65歳からの受給する年金の額と殆ど変わりません。

人生100年と言われる今の時代、50代は折り返し地点です。法人営業、ルート営業等、主に営業畑を歩いてきた私は「60歳で退職して、長くできる新たな仕事に就きたいなぁ」と漠然と考えていました。

ちょうどその頃、会社の業績悪化を理由に早期定年制度が打ち出されました。幸いなことに、子どもは既に就職、独立していたので、また、再就職で年収がダウンしても、退職金を充当すれば経済的リスクもさほど大きなものではありませんでした。妻と相談し、「今を逃したら二度とチャンスは訪れない!」と退職を決断しました。

早速、転職活動開始。まずは3社程の大手転職サイトに登録し、応募条件が少しでも合致していたら即、応募しました。

8ヶ月間で約240社に応募しましたが、面接に呼ばれたのはわずか5社でした。「厳正に選考した結果、誠に残念ながらご希望に添いかねることになりました」というメールを毎日のように受け取りました。中には、朝応募して、その日の夕刻に不採用連絡が来た会社もありました。このような場合の殆どは、年齢のみで判断されたのではないかと思っています。

採用担当者の立場で考えてみれば、あと5年程で60歳を迎えるシニアより、長く会社に貢献してくれる20代、30代の若い人を採用したいのは当然のことです。

面接に呼ばれた会社は、タクシー、運送、宅配、NPO、ベンチャー企業。本当にバラエティに富んでいました。

その場で「採用!」と言われたり、社長面接まで進んだのに不採用の連絡をもらったり、転職を思いとどまるよう説得されたり、面接では様々な経験をしました。執行役員でありながら副業で飲食店を経営する人事担当者から、その飲食店で働かないかと誘われたこともありました。

おかげ様でIT系ベンチャー企業に転職が決まりました。この企業は新しくAIを使ったサービスを立ち上げ、大手企業への販路を開くため、若い営業マンにはない、豊富な経験を持つ、ベテランののセールスを求めていました。私の長年の法人営業経験がヒットしたようです。うれしいことに、定年制度もなく、本人と会社が望めば、年齢を気にせず長く働くことができます。

今回の初めての転職活動を通じて、高齢の人材が持っている経験や知識を望んでいる求人も、数は少ないですが、あることが分かりました。毎日送られてくる不採用通知を見ていた時期は、さすがに気持ちが滅入ってしまいましたが、今思えば、「そりゃそーだよね」と受け止めて、気長に少ないチャンスを待っていられれば良かったと思います。

新しい会社でようやく1年が経過しようとしています。30人程の小さな会社ですが、大手企業と違い、自分が担当する営業の仕事だけではなく、会社のあらゆる業務が見えます。もし、自分が将来、起業したいと思ったら、あるいは、フリーランスで働くことになったら、きっとここで得た知識や経験が活きるだろうと感じています。大手企業にいては、決して得られないものです。全く新しい業界・人間関係の中で、大変なことも多いですが、そう考えると少々の苦労も楽しく思える今日この頃です。

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