<この体験記を書いた人>
ペンネーム:さくらみちこ
性別:54
年齢:女
プロフィール:超仕事人間だった夫がコロナ禍を機に変わりました。
私の夫は現在58歳、超がつくほどの仕事人間でした。
休日返上で仕事に向かうのは夫にとっては当然のこと。
あるいは持ち帰った仕事をこなすため、休日でも一日中パソコンに向かうなんてこともしばしばでした。
となると、家族の予定がキャンセルになる、夫不在で決行なんてことが起こります。
そんな状況に私も家族も少々不満を持っていたのですが「仕事だから仕方ない」と自分を納得させていました。
しかし今から約1年前の2020年春頃、コロナ禍となり全国に緊急事態宣言が発令されたタイミングだったでしょうか。
夫の様子が変わり、休日をきっちり休むようになったのです。
土日も可能な限り2日間とも。
そして、家族との時間を何より優先するようになりました。
それだけでも私にとってはビックリな出来事なのですが、夫はなんと平日にも休みを取り始めたのです。
そして、その日は決まってドライブ。
私が行きたいと言っていた場所に連れて行ってくれるのです。
うれしい反面、「この変化にはどんな理由があるの?」と一抹の不安も感じていた私は、思い切って聞いてみることにしました。
「どうしたの? 体調が悪いの? 仕事で何か問題でもあった?」
「全然そういうのじゃないから。心配しないで大丈夫!」
夫は明るくそう答えるだけでした。
そうなると余計に気になるのが私なのですが、夫が理由を話してくれることはありませんでした。
そんなことが数回続いた頃、ドライブ中の車の中でもう一度聞いてみました。
「休みを取ってまでドライブ連れて行ってくれるなんて、凄くうれしいんだけど、あまりに優しいからちょっと怖いんだけど....」
私は軽口を叩いたつもりだったのですが、実は凄く気にしていることがきっと夫に伝わったのでしょう。
夫がぽつりぽつりと理由を話し始めたのです。
「俺は仕事ばかりでしょ。それが家族のためだって思ってて。でも、その分だけあなたに寂しい思いをさせてきたよね。そんなことをとうとうと考えてたらコロナ禍になって。そこでいろんなニュースを見聞きする度に、今のままじゃまずいって気づいたんだ。一番大切なのは夫婦で一緒に過ごす時間だって。だからこれからは2人で楽しく過ごしたいんだ」
これが夫の答えでした。
夫はコロナ禍で流れる悲しいニュースに触れる中で「本当に後悔しない生き方」を強く意識するようになったのだそう。
そして、それを実行するために仕事をセーブすることを選択したのでした。
「そうだったのね...」
夫の思いを聞きながら嬉し涙がこぼれた私。
正直、この夫の選択が、夫の人生を思わぬ方向に向かわせてしまうのではないのかと心配にもなります。
でも、休日を過ごす夫の笑顔を見る度に「これでよかったんだ」と感じています。
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