人生をやり直そうとしている時に前向きな言葉をかけられて、「とても勇気づけられたことがあるのです」と振り返るマロニエさん(62)。でも、言葉の主が口のうまい営業マンだったらどうでしょう。いつの間にか「高い買い物」をさせられていた...なんてことになってしまうかも?
※実際に身の回りで起きた実体験エピソードに基づき構成しています。
「エアコンのお掃除を1000円で」というチラシを見ると、私(62歳)は、24年前の出来事を思い出します。
当時、私は38歳。
離婚後、引越し先が決まって、エアコンを掃除してから持っていこうと思い、ポスティングされていた「1000円でエアコンのお掃除をします!」というチラシの連絡先の会社に電話をしてみたのでした。
やって来たのは、爽やかな感じの良い青年。
エアコンの掃除をしながら、彼は世間話を始めました。
「お掃除って大切ですよ。僕、この仕事を始めてから、それがわかるようになりました」
彼はそう言い、今は両親のために家の掃除もしてあげて喜ばれているとのこと。
今どき珍しく親孝行の若者だなと思った私は、「そうなんですね」とうなずいて、彼の話を聞いていました。
けれども後で考えると、その時すでに私は、彼の巧みな話術に引っかかっていたのです...。
いつの間にか彼の話題は、自分が使っている「水のパワーを利用した業務用の特殊な掃除機」のことになりました。
「これがあれば家中の物をきれいにできるんですよ」
彼の手際は確かにあざやかで、私は「今まではサボっていたけど、これからはマメにお掃除をしよう。この人の言う通り、お掃除は生活の基本だもの」という気分になってきました。
その絶妙なタイミングで、彼は私にその掃除機の購入を勧めてきたのです。
価格は、なんと40万円!
普段なら絶対買いませんが、その時はなぜか「この掃除機は他では手に入らないし、ローンなら毎月3000円だし、毎日使えば決して高い買い物ではない」と、すでに購入の方向に気持が傾いていたのです。
青年はすかさず言いました。
「お電話一本でいつでもお手伝いに伺います。この料金には僕のサポート代も含まれてると思ってください」
その言葉に後押しされ、私はつい、40万円の業務用掃除機を購入するローン契約を結んでしまったのでした。
後日、新居に引越す際、約束通りあの青年にお手伝いを頼もうと思って会社に電話すると、「○○(彼の苗字)は退職したので、代わりの者を伺わせます」との返事。
「退職って...?」どういうことよと思っていると、爽やかさのカケラもないおじさんが訪問してきてきました。
しかもその人は、この間、例の青年から聞いた掃除機の使い方を簡単に説明しただけ。
私はすっかりダマされた気分でした。
肝心の掃除機は一人では重たくて扱いにくく、かといってあのおじさんを呼ぶ気にもなれず、結局あれ以来使うことはなかったのでした。
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