今や夫婦の3組に1組が離婚するとまで言われる時代。原因はさまざまでも、離婚には相当なエネルギーがいることだけは確か。それでも離婚する夫婦が多いのは、やはりそれなりの理由があるからでしょう。マロニエさん(62歳)にとってもそれは同じでした。
※実際に身の回りで起きた実体験エピソードに基づき構成しています。
「なんで離婚したんですか?」
仕事がらみで知り合った60代のその男性は、私(62歳)に聞きました。
彼は子どもが独立してから奥様と別居しているそうで、「そろそろ離婚届を出してすっきりしたいけど、相手がなかなか承知してくれなくて...」とのこと。
私が離婚経験者だと知って、離婚についての女性の考えを聞いてみたかったようです。
もっとも私の離婚はもうずいぶん前の話で、1990年代の終わり、38歳の時のこと。
私は22歳の時、9歳年上の男性と結婚しました。
夫は「オレについてこい」という「昭和の男」で、今まで出会ったことのないタイプ。
自分よりずっと大人で自信たっぷりの夫が頼もしく、私は何をするにも夫を優先し、結婚生活を続ける上での面倒事はすべて引き受け、それに疑問を抱くこともありませんでした。
夫の目には、そんな私がさぞかわいい妻に見えたことでしょう。
でも、私はだんだん、夫との関係に不満を持つようになりました。
多分、結婚した時に未熟だった分、結婚後の精神的成長が大きかったのだと思います。
夫の言うことにいちいち反発を感じ、「それ違うんじゃない?」と口に出すようになり、素直で従順なだけの妻ではなくなっていきました。
社会に出て働くうちに、フリーランスの夫より私の方が収入が多くなることもありましたが、そんなとき夫は、私の収入をあてにしながらも不機嫌になりました。
何につけ妻が自分より上になるのが「男の沽券にかかわる」と思っていたようです。
かつて自信家で大人に見えた夫は、いつの間にか私にとって、ただのわがままで自分勝手な男になっていきました。
私は夫のせいで自分の人生を犠牲にしていると思うようになり、夫のために何かすることに喜びを見出せなくなったのです。
夫が望まなかったので私たちに子どもはなく、夫婦の溝を埋める存在も、無理に結婚生活を続ける理由もありませんでした。
やがて、数年の別居生活を経たのち、私は夫と離婚したのでした。
それから24年たった今、同年代で離婚を希望している男性に「なんで離婚したんですか?」と聞かれ、しばらく考えてから、私はこう答えました。
「夫から卒業したかったんだと思います。いうならば『卒婚』というやつですね」
「はあ...」と、男性は言いましたが、その顔は、「やっぱり女性の考えることはよくわからないな」と言いたげに見えました。
現在62歳、卒婚後は「おひとりさま」で幸せな人生を歩んでいます。
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