<この体験記を書いた人>
ペンネーム:やまと
性別:女
年齢:41
プロフィール:10歳年上の夫と二人暮らしの主婦です。
約20年前、新卒で入った会社での新人研修の時の話です。
朝礼の司会を何人かの新人で担当することになり、大学時代にイベント会社に登録していて、展示会などでのMCや司会の経験のあった私は立候補しました。
私は高校生の頃から放送部に入っていて、人前で話すことはちょっと自信があったんです。
私の司会は思った以上に好評で、上司からも褒めてもらいました。
私は学歴も経歴も平凡で新人の中でも目立つ方ではありませんでしたが、司会をやった日を境に、同期の研修メンバーからも声をかけてもらえるようになりました。
ある昼休み、みんなでお弁当を食べているときに、同期の男性Aが声をかけてきました。
「司会とっても上手でびっくりしたよ」
うれしいと同時にみんなのいる前で褒められた私は恥ずかしくなり「ありがとう、放送部だったから慣れているだけだよ」と言いました。
「あれは放送部ってレベルじゃないよ〜、プロの仕事だと思ったよ。お金が取れるんじゃない!? もしかして芸能活動とかアナウンサーとかしてたの? そんな感じがする」
Aはベタ褒めしてくれます。
うれしくなった私は、学生時代にイベント関係の仕事をしていたことを話したのですが...。
「へ〜、そうだったんだ。しかし、どんな人でも一つくらいは取り柄があるもんだな」
笑いながら大声でそう言い放ったんです。
「どんな人でも一つくらいは取り柄が」って...私は何の取り柄もないと思われていたのか! というか、そう思っていても口に出すってどんだけ失礼なんだ!
褒められたと思っていたのに思いがけずにけなされ、頭の中がショックと混乱でいっぱいになりました。
発言を聞いていたメンバーも全員凍りついたような顔をしています。
「いやー本当にびっくりだったよ、また機会があったらぜひ司会してね! じゃあね」
当のAは自分が失言したとは思ってもいなかったようで、そう言って機嫌良さそうにどこかに行ってしまいました。
後から聞いたメンバーの話によると、Aは語学堪能でかなり優秀だとのことですが、その反面ビッグマウスや過激発言もあり、悪目立ちしていたようです。
「語学を習得するために海外でのボランティア活動に参加したけど、ボランティアには全く興味がなくて適当にやっていた。まわりはバカみたいに一生懸命ボランティアしてて驚いたよ。子どもと一緒にどろんこになって遊んだりして何マジになっちゃてんの〜って感じ。僕はずっと新聞やニュースで語学の勉強してたからね!」
Aは3カ国語が話せることを自慢していましたが、こんなことを豪語していたという話も聞きました。
当然まわりはドン引きです。
Aとは極力かかわらないようにしているうちに、彼は転職してしまいました。
やはりまわりから浮いていたようで、居心地が悪かったのかも知れません。
今はどうしているのか分かりませんが、もう少し人を思いやれる人になっていたらいいなと思います。
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