「24歳になっても、父である私を『パパさん』と呼ぶ息子。注意しても、どうしても『パパさん』呼びがやめられないようです。そもそも、息子が私をそう呼ぶようになったきっかけは義母なのです。はじめはたいして気にしていなかったことなのです。微笑ましいといえば、微笑ましいのですが...」
「だって、大事なお婿さんですから...」と義母
そのころ、たまに私が職場帰りに息子を引き取りに行くと「ほうら、パパさんがお迎えだ」と息子に話しかけていました。
はじめは大して気にしていませんでした。
ですが、やがて言葉を喋るようになってくると息子は妻のことは「ママ」と呼ぶのに、私のことを「パパさん」と呼んでいることに気付きました。
「パパさん、は変だなあ。ほらパパって言ってごらん」
「パパ、さん?」
「だめだなあ、君のことは、ママ、っていうのに...」
「お母さんが、パパさん、って言うからかもね」
妻の一言で気付きました。
そういえば義母は息子に話しかけるとき、妻は「ママ」と呼ぶのに、私はいつも「パパさん」です。
「やっぱり、ずっと一緒に世話してくれる人の言葉が移るからなあ。お義母さんに普通に、パパ、って呼んでもらうようにしてもらおう」
ところが、この何気ないお願いが通りませんでした。
「とんでもない! 大事な婿さんのことを呼び捨てなんかできるわけない」
「いや、そんなたいそうな話じゃないんですよ、息子の言葉がですね...」
「いえいえ、パパさんはパパさんですよ」
まさか、そんなにかたくなに断られるとは思わなかったので、びっくりしてしまいました。
「いや、でもですね、パパさん、で覚えられてしまっても...」
「いいじゃないですか、だってパパさんなんだから」
そう言って義母は息子をあやしながら「ねえ、パパさん、大好きだもんねえ」と繰り返しました。
結局、この妙な義理堅さはずっと続き、義母は今でも私のことを「パパさん」と呼びます。
心配していた通り、息子はいい年になっても気を許せば「パパさん」と呼びます。
もうあきらめていますが、少なくとも私は、自分の孫が生まれたときには「お父さん、お母さん」で通すぞ、と心に誓っています。
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