離婚したのに苗字はそのまま?「未練」ではなく「これまでの私を否定しない」ために選んだ道/くるぴた
皆様こんにちは、『人生リセットできるかな?』の管理人"くるぴた"です。
【前回】トランクルームに大量の段ボール...マンション清掃員が見た「開かずの箱」の末路
離婚して間もない頃、かなりの確率で聞かれる質問がありました。
「あれ?旧姓に戻さなかったの?」
そう、確かに離婚はしたけれど、姓は結婚していた頃のまま。
生まれ育った苗字には戻さなかったのです。
「離婚=旧姓に戻る」というイメージは、根強いですね。
離婚したのに姓を変えないと言うと「未練がある」と決めつけられることもあります。
しかし、もう心残りは欠片も残ってません。
だったらなぜ、私は今も結婚時の姓を名乗るのか?
それにはいくつかの理由があります。
まず、圧倒的に「面倒」だったから。
銀行、クレジットカード、携帯電話、保険、運転免許証、病院、勤務先、ネット通販、ポイントカード、その他諸々……
私達の名前は、想像以上にあちこち大量に登録されています。
それらを全て変更するのが、どれだけ大変なことか。
住所や電話番号に比べ、名字の変更には身分証明書の提示などの特別な手順を経ることも多く、やたらと手間がかかります。
結婚したときも、同じことをしたはずですが、その時は「幸福感」のフィルターがかかって、苦を苦と感じませんでしたが……
それが離婚となると途端にフィルターが消え、現実がより一層重くのしかかってきて
「いちいち姓まで変えてられない!」
と思ったのです。
それに長年名乗った姓を旧姓に戻したら、慣れるまで相当時間がかかる予感もありました。
20代で変わるのと、50代で変わるのでは、負担が違います。
そこまでして元に戻りたいとは思えませんでした。
そしてもう一つ、姓を戻さなかった理由は、結婚後の姓を旧姓より気に入ってしまったこと。
私の場合、旧姓はありふれた名字。
名前も平凡だったので、たまに同姓同名の人に出会ったりもします。
あまりにキラキラネームでも困るけれど、平凡過ぎる当時の姓名もまた、自分らしさを感じられず、あまり好きにはなれませんでした。
その点、今の姓は特別というほど珍しくなくても、そこまで平凡でもないという、良い塩梅。
少なくとも、いろんな苗字が詰まった認印売場のボックスで、すんなり買えたことがありません。
加えて今の姓は、漢字のバランスや、響きが気に入っています。
自分の姓名を見て「悪くないな」と思えるのは、案外大事なこと。
姓が変わったことで「どこにでもいる私」から、「ここだけの私」へと感覚がアップデートできました。
そして離婚しても改姓しなかった一番の大きな理由。
それは姓を戻すことで、これまでの自分を全否定したくなかったからです。
私は結婚には失敗しました。
これは認めます。
でも、人生まで失敗したとは思いたくありません。
結婚していた時間には、楽しかったこともありました。
笑った日もありました。
もちろん「どうしてあのとき気付かなかったんだろう」と苦笑する思い出もあります。
全部ひっくるめて、あれは私の人生でした。
離婚をしたからといって、その時間だけ切って捨てることはできません。
もし旧姓に戻していたら、どこかで「結婚していた時間は全て無駄だった」という意識を自分に植え付けてしまったような気がします。
人生には消しゴムがありません。
あるのは、上書きだけ。
結婚には失敗したけれど、その経験があったから見える景色もあります。
人を見る目は少しだけ育ち、なんとか一人で暮らす力もつきました。
思っていたより自分の精神が頑丈だということも知りました。
できれば、もっと穏やかな方法で学びたかったとは思いますけれど……
だから今の姓は、元夫から借りたものというより、私が人生の途中で手に入れたものだと考えています。
長く使えば、自転車も革靴も手に馴染むもの。
名前だって同じ。
もう十分、慣れ親しんで、私自身の一部になったのです。


