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『身体を壊す健康法』 (柳澤綾子/Gakken)第6回【全6回】

東大の研究員であり現役医師である柳澤綾子さんは、年間500本以上の論文を読む論文オタクでもあります。『身体を壊す健康法』は、そんな柳澤さんが、これまで当たり前とされてきた健康の常識を最新の研究結果をもとに一から見直し、正しい知識を優しく解説します。本書で健康の知識をアップデートしましょう。

※本記事は柳澤綾子著の書籍『身体を壊す健康法 年間500本以上読破の論文オタクの東大医学博士&現役医師が、世界中から有益な情報を見つけて解き明かす。』(Gakken)から一部抜粋・編集しました。


美顔器やローラーを使うことで、たるみやシワをかえって助長してしまう危険性アリ

美顔器・ローラーの誤った使い方で「たるみ」「シワ」を助長!? 逆効果にならない「正しい使い方」(2)

たるみやシワを引き起こす3大原因

年齢とともに気になってくるのが、シワやたるみといったお肌の悩み。何だか全体的にパーツが下がってきた気がするし、目尻やほうれい線のシワも気になるし、目の下の脂肪も何だかぷっくり。どれも気になり始めると、もういても立ってもいられないけれど、何からやったらいいかわからないから、とりあえず安価でお手軽で家でもできるといったところで、ローラーをころころ転がすタイプの美顔マッサージ器を手に取る方も多いのではないでしょうか。

この、ころころタイプの美顔小顔ローラーマッサージ器。ありとあらゆる形状、素材、価格帯があって、どれがいいのか、何をしたらいいのか悩みませんか。

美顔器を買われる方もいらっしゃるでしょう。これも値段がピンキリで、20万円近くする高価なモデルもあります。

そもそも、たるみってなんだろう、どうしたらいいのだろう? 効果的な使用法や避けたほうがいい使い方について、一緒に考えてゆきましょう。

まず、たるみやシワの原因となっているのは、主に次の3つです。

【原因1】皮膚の下にある脂肪層の脂肪量が、年齢とともに減少する
赤ちゃんの顔はまん丸でパンパンですよね。思春期から青年期にかけて少しずつ顔がすっきりしてきますが、まだ皮膚の下の脂肪は満たされています。これが年齢とともに少しずつ減っていきます。つまり、脂肪層の上に元々ピンと張っていた皮膚が、脂肪の量が落ちることで余ってきてしまうのです。これが、たるみをもたらす1つ目の原因となります。

【原因2】皮膚そのものが、体重の増減やむくみなどで伸びたり縮んだりを繰り返すことで、伸び切ってしまう
皮膚の下には、皮下組織や結合組織と呼ばれる成分があります。体重の増減やむくみや加齢で結合組織が次第に緩んでくると、そこにある脂肪が段々と重力に負けて下方に流れてきます。それに引っ張られる形でたるみやシワが発生することが2つ目の原因です。

【原因3】顔の皮膚の下には結合組織や皮下組織の他にも、顔面を動かすための小さくて細い筋肉がたくさん走っている
これらの筋肉を取り囲む組織や筋組織自体も、年齢を重ねることで少しずつ緩んできたり、伸びてきたりします。

ローラーや美顔器は向きが超大事

ではそのたるみが生じた場合には、実際にどのように変化が起こってくるのでしょうか。

まず最初に、たるみは皮膚を構成する各層の老化から始まってきます。皮膚の深層にある脂肪層では、元来は脂肪がその位置から下に下がらないように、繊維から成る結合組織によってあるべき場所に固定されています。

しかしながら、加齢によって脂肪組織やそれを固定していた繊維組織が衰えてくると、重力に耐えきれなくなった脂肪が徐々に下のほうに流れて移動してきます。

たるみの初期はまず、こめかみの脂肪が目元に向かって下垂してきます。次に頬、フェイスライン(顔の輪郭。頬や耳下の付近からあごの下)へと、上から下へと各部位でたるみが進んできます。

こめかみから下に流れた脂肪は目元のたるみに、頬から下に流れた脂肪は口元に溜まりほうれい線に、顔の下部に集まった脂肪は、フェイスラインやあご下のたるみへと姿を変えてきます。

最終的なたるみの発生は、前述したような3つの原因となる真皮層や筋肉層など各層が関係していますが、たるみ部分の正体は本来の位置から下方に流れてしまった「脂肪」なのです。

では、この年齢とともに下方に流れてきてしまった脂肪に引っ張られて、たるんでしまったシワやたるみ、一体どうするのが効果的でしょう。

有効だと思われているローラーのかけ方を紹介します。次のそれぞれで、50回程度を目安にローラーを転がすのがお勧めだと言われています。

・口元から耳へ向かって斜め上に転がすイメージで、頬をリフトアップさせる
・目元から耳のほうへ向かって横に転がす
・眉間から髪の生え際に向かって上へ転がす

これらの動きは、先ほど述べた脂肪組織が下に流れてきてしまったほうの逆に向かって進むイメージです。脂肪というのは皮下では小さな粒々の集合体となっているので、元の位置に戻してあげられれば、たるみも多少は改善する可能性があります。

たるみの原因は表皮そのものの問題というよりは、その下の脂肪組織や結合組織の問題であることのほうが多いのです。

向きや場所をよく考えないでいい加減に使ってしまうと、脂肪組織や結合組織や皮膚を間違ったほうへ刺激してしまうので要注意です。

それと気をつけなくてはいけないのは、皮膚自体が乾燥していて弾力を失ってしまっている場合。この場合は強い力でぐいぐいとローラーをかけることで、乾燥している皮膚にさらにダメージを与えてしまうことになりかねません。しっかりと保湿をして、肌が本来持つ弾力を取り戻すことが先決です。

<結論>
・ローラーや美顔器は、正しい使い方を守る。脂肪が落ちてきたのと逆の向きへ力を加えていく
・皮膚が乾燥している場合は、保湿するのが先決


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柳澤綾子
医師、医学博士。東京大学大学院 医学系研究科 博士課程修了。大学院時代から公衆衛生学を専攻し、社会疫学、医療経済学およびデータサイエンスを学んできている。現在は、東京大学および国立国際医療研究センターにて研究を行いつつ、ママ女医の立場から健康格差解消のための啓蒙活動に尽力、講演、記事監修や執筆等を行っている。海外医療活動参加歴あり。パナマにて国際船医免許取得後、世界一周クルーズ船船医として世界中からの乗客のべ8000人以上を診察、世界27カ国の病院に紹介状を持って同行医師経験あり。