住職のキャラクターには近藤丸さん自身を反映
――ヤンキー君の言葉に感心して弟子入りしようとしたり、嫉妬したり、住職は人間らしくて愛すべきキャラクターですね。また、お寺に生まれたわけではないのに仏の道に進んだなど、近藤丸さんに似ている部分が多いのでしょうか。
近藤丸さん(以下、近藤丸) おっしゃる通り、住職のキャラクターには自分を投影していて、自分だったらどうするかな? と考えながら描いています。人付き合いが苦手なことや、悩んで仏教系の大学に行ったけど、図書館で本ばっかり読んでいるというのも、私の経験を基にしています。住職は私と同じく仏門の人間ですが、仏教を頭でしか理解していない所がある。生き方にまで仏教を反映できていなくて、小さなことに悩んだり、煩悩に振り回される。また、思い通りにならない現実に、悩んでいる青年なのです。私はお寺を継いでいませんが、現状を打破するための奮闘は、お寺を継いだ友人僧侶のエピソードなどを参考にさせてもらっています。
――浄土真宗では僧侶もそれ以外の人も、煩悩にとらわれた「凡夫」と考えるそうですね。ヤンキー君はどんな発想からああいうキャラクターが生まれたのでしょうか。
近藤丸 ヤンキーは仏教の知識はあまり無いけれども、人生経験が豊富で、仏教の教えも自分の生活に引き付けて考えるのが上手。住職と対照的です。自分でも憧れるような正直でいいヤツに、と思いながら描いています。
――住職が近藤丸さんで、ヤンキー君は近藤丸さんが理想とする人物がモデル。なんだかしっくり来て、もっと漫画が面白くなりますね。