「自分たちの時代はもっと大変だった」は親の"自慢話"。生き方を強要する親の「歪んだ感情」

"嫉妬心"は引き受けなくていい

嫉妬という感情にはいくつかの意味が隠されており、必ずしもネガティブな感情とは限りません。ポジティブな感情が土台になった嫉妬は、意欲や真剣さから来た「負けたくない」という気持ちです。

一方、"自分より楽をするなんて許せない"という嫉妬は、強者に向けることができない怒りを弱者に向けた怒りの結果です。

つまり、親から子どもへ嫉妬心が向けられる場合、親が本来向けるべき怒りの標的はもっと上の立場の者であるということです。それは夫(子どもの父)かもしれませんし、祖父母や義理の両親などであるかもしれません。あるいは、「時代」や「社会」に対してかもしれません。

しかし、自分より強い者に怒りを向けると、やり返されてしまう危険性があります。そのため、怒りを向けても安全でいられる、自分よりも弱い者に八つ当たりするのです。

"上から下に流れた怒り"は、本来は子どもに向けるべきものではありません。

子どもがそれを受け止める道理はない負の感情なのです。もし、ご自分の親にこのような嫉妬心を感じたら、できるだけ距離を置いたほうがいいかもしれません。

このような場合、親の心境は厄介ですので、できるだけ巻き込まれないように警戒が必要となります。

■ 内省力のない親は、自分と他人を区別できていない。
■ 親の"自慢"と"嫉妬"は引き受けなくていい。
■ 親の"嫉妬心"に気づいたら距離を取る。
 

寝子(ねこ)
臨床心理士。公認心理師。
スクールカウンセラーや私設相談室カウンセラーなどを経て、現在は医療機関で成人のトラウマケアに特化した個別カウンセリングに従事。トラウマの中でも、親子関係からのトラウマケアと性犯罪被害者支援をライフワークとしている。
臨床業務の傍ら、ツイッター(X)で心理に関する発信をし始め、フォロワー1万人超え。
対処法よりも自分を理解することに重きを置いた内容が支持され、ブログ記事は「探していた答えが書いてあった」「自分の状態がクリアに理解できた」と評判になっている。

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※本記事は寝子著の書籍『「親がしんどい」を解きほぐす』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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