悪気がなくてもNG! 考えなしの一言が女性を傷つける/大人の男と女のつきあい方

pixta_38619837_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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女性を傷つけるこのひと言

ちょっと前までは、仕事の流れなどで銀座のクラプにちょくちょく顔を出していたが、最近は滅多に行かなくなった。不況が続く昨今、多くの会社も経費削減で客足は遠のいている。私自身も、どうしてもと誘われないかぎりは行くこともない。
その日は知人が、ある店に顔を出さなければならないという義理があり、誘われて同行した。そのクラブでのこと。

「あれ、君、どこかで見たことがあるんだけど......」
知人のひと言で、席についたばかりのホステスの表情が変わった。数分、ぎこちない空気が流れ、ほどなくそのホステスは別の客席に移動した。黒服のウエイターにサインを出して、客席をチェンジするよう指示したことは容易に察しがついた。
「ここだけの話、あの子、現役のAV女優なのよ」
 
席に残った別のホステスが、不自然な中座のわけを小声で明かしてくれた。何げないひと言だったにしても、知人にしてみれば、自分が彼女を傷つけてしまったようで居心地が悪い。また、AVを見ている男と思われてしまった。知人はとくにAV愛好者というわけではない。雑誌のグラビアページか何かで見た記憶が彼にそういわせたのだろう。

何事につけ、あっけらかんの時代。ひと昔前と違って、AVに出演している若い女性が「職業は女優です」と誇らしげに話す時代なのだから、色気が売りもののクラブで隠す必要などないと思うのだが、とにかく彼女は素性を隠したかったのだろう。

いまテレビには、バカタレ(おバカタレント)があふれているが、なぜかAVに出るタレントだけは"女優"という肩書がつくのが不思議だ。
女優といっても、AVへの出演は性行為をカメラに撮られて、それを販売されるのだから、売春行為のきわどい映像版であることは事実だ。やはり恥ずかしいのが当たり前だろう。それを口にした知人もちょっと迂闊(うかつ)だった。こういう席にかぎらず、女性に対しては思いついたまま何でも口に出すと、とんだトラブルを招くことがある。

「あれ、お笑いタレントの〇〇に似てるね」
「そのTシャツ、ユニクロでしょ」
「最近、太った?」

たとえ、それが事実であったとしても、女性の気持ちをいたく傷つける。心に何かが浮かんでも、よく考えもせずにそれを口に出してはいけない。それは性別を問わずいえることだが、とくに女性に対してはご法度なのだ。

「悪気はなかった」
「本当のことをいっただけなのに」
失言をしてしまう男性はよくそんな弁解をする。だが、それは火に油を注ぐような言葉だ。悪気があったかどうかを決めるのは、いわれた人間のほうなのだし、本当のことだからと何でもいっていいわけがない。

こういうデリカシーが欠けていると、まず女性にはモテない。「がさつ」「無神経」「不潔」な男性を女性はもっとも嫌う。どんなに気の置けない仲であっても、慎まなければならない言葉や行為というものがあるのだ。もし、迂闊にも口が滑ってしまったら、ひと言だけつけ加えれば相手の反応はいくらか違ってくる。

「あれ、お笑いタレントの〇〇に似てるね。もちろん、キミのほうがずっときれいだけど」
「そのTシャツ、ユニクロでしょ。コーディネートうまいなあ」
「最近、太った?きれいになったね」

いずれにせよ、少しでも相手が傷つきそうだと思ったら、口に出さないのがいちばん。女性に対しては、あえてリスクを背負う可能性のある言葉はいわないにかぎる。思いつきのひと言で、相手の女性との関係が修復不可能になることもある。相手の機嫌が悪いときならば、なおさらのこと。一瞬の不注意がもとで出会い頭の大事故につながる。

「あれっ、いい匂いだね。香水、変えた?」
「歯並びがきれいだね。ステキだよ」
とにかく、相手の機嫌を損ねることのないコメントを選んだほうがいい。何かひらめいても、ぐっと言葉をのみ込んで、右見て左見て「いったん停止」。そうすれば、少なくとも女性に対して加害者にならなくてすむ。

 

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川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です

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