ネットで話題の作品『赤ちゃんに転生した話』の書籍が2023年2月14日に発売されました。本作では、ブラック企業で過労死した主人公が、大人の心を持ったまま赤ちゃんへと転生するも、想像以上に赤ちゃんには制限が多く、大変なことを実感していきます。人気の理由は、赤ちゃん特有のしぐさや行動の理由がリアルに描かれており、子育て世代の気づきや共感を得られたことではないでしょうか。
作者の茶々京色さんは、医療従事者であり2歳の娘さんを育てるママです。子育てと仕事、創作活動に取り組む中で、どんなふうに時間をやりくりしているのか、作品では描かれることのない茶々京色さん自身の子育てについて伺いました。
■創作活動は「子どもが寝た後のひとり時間」で
茶々京色さんは、娘さんの出産後、育休中に『赤ちゃんに転生した話』を描き始めました。
現在は、医療従事者として働きながら子育てと創作活動を両立させています。
普段の時間の使い方を聞いてみると...。
「現在は時短勤務なので、朝8時半に出勤をして16時に退勤、17時には保育園のお迎え、食事やお風呂をすませて20~21時に娘と就寝します。そして、私だけ朝4時に起きて漫画を描いています。たまには、娘が寝た後、22~23時頃まではちょっと描くこともありますが、夜は眠いのでわりと早めに寝ちゃっています」
なかなかハードな毎日ですが、家族のサポートがあってこそのようです。
「夫と娘の三人暮らしで、夫は基本的に漫画の内容は見ていません。しかし、漫画家としての私を応援してくれています。家事や育児などは、協力し合ってできる方がやるようにしていますね。また、子どもに危険が及ぶようなことについては、必ず夫と情報を共有するようにしています」
創作活動を続けたるためのモチベーションについても教えていただきました。
「漫画を読んでくれた方々から、『赤ちゃんの行動の意味を知って、子どもが泣いていてもイライラしなくなった』『今まで分からなかったことに対応できるようになった』などのコメントをいただくと、とてもうれしくて...。また、子どもが生まれたことで人生の活力ができました。頑張るというよりは、やるしかないという考え方にシフトチェンジしましたね。いろいろな情報が飛び交う時代だからこそ、読んでくれる皆さんに正しい情報をきちんと発信していきたいです」
■娘の前で漫画を描くのは禁止!? その理由は?
作品に取り組んでいるときは、「何度書き直しても数分後には細部が気になり、とにかく時間が足りない」という茶々京色さんですが、娘さんの前でペンを持つことはないそうです。
というのも、こんなエピソードが。
「ある日、娘が遊びに集中している時間に、いまなら大丈夫かもと横で漫画を描き始めました。すると、娘の興味はすっかり漫画に向いてしまい...。気づけば愛用のタッチペンがものの見事に壊されていました。それ以来、娘の前では漫画は描かないようにしています(笑)」
作品では、赤ちゃんの体の発達が丁寧に描かれ、読んでいると「これってこういうことだったのか」「そんな意味があるなんて初めて知った」「もっと早く知っておきたかった」と思わされることがたくさんあります。
せっかくなので、茶々京色さん自身が子育ての中で取り入れてきたことを教えてもらうと、「体を動かすことでしょうか」とのこと。
意外にも特別なことではありませんが、理由を聞いてみると...。
「広い場所でハイハイをさせると、体幹機能が発達して、立った時に体を安定させてスポーツができるようになると知り、娘にもハイハイを促すようにしました」とのこと。
こう聞くと、赤ちゃんの体の発達にハイハイはとても重要と改めて思いますね。
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム)