恋するシニア世代へ。中高年の恋愛は"身軽に"愉しむのが粋/大人の男と女のつきあい方

恋するシニア世代へ。中高年の恋愛は"身軽に"愉しむのが粋/大人の男と女のつきあい方 pixta_38196723_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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中高年の恋愛における五つのルール

私は仕事が終わっても、なかなかオフィスから真っすぐ帰宅できない性格だ。ビジネス・オンのモードからオフのモードに切り替えないと、家に足が向かない。
無類の酒好きなら、連れがいなくてもなじみの店にちょっと立ち寄って、ビールや水割りでもひっかけてから帰宅するのだろうが、そこまでの酒好きでもない。だから、最近はやりの立ち飲み屋の前を通りかかっても、ぶらりと入るようなこともない。

そんな私にとって、欠かすことのできないのがコーヒーショップだ。自宅のある駅に降り立つと、必ずといっていいほど立ち寄るコーヒーショップがある。そこで、コーヒーを飲みながら30分ほど夕刊や週刊誌に目を通してから家に帰る。
最近、そのコーヒーショップで気になることがあった。

60代から70代の中頃とおぽしきカップルの姿が、やたらと目につくのだ。はじめは、サラリーマン生活を勤め上げ、悠々自適の年金生活を送る老夫婦だと思っていたのだが、よく観察してみるとそうではないらしい。
夕方の六時頃だから、夫婦ならどう見ても夕食の支度や夕食の時間だろう。そんな時間に、毎日のように必ずお目にかかる初老のカップルが何組かいる。

聞き耳を立てているわけではないが、二人はいつも愉しそうに話している。言葉遣い、話の内容、そしてはしゃいでいる女性の様子から判断してそう思った。目を閉じて聞いていれば、女子高校生のそれと間違えそうなほどだ。そんな様子から察すると、ただの友だちというよりは明らかに恋人同士なのである。

伴侶に先立たれた者同士なのか、熟年離婚者同士なのか、婚外恋愛なのかはわからないが、最近、そうしたカップルを目にする機会が本当に増えた。注意してみると、渋谷や新宿などの繁華街でも「恋する中高年」に遭遇することが多い。年齢差もまちまちで、同世代のカップルもいれば、男性は60代でも連れは30代、40代、あるいは女性が50代で男性は30代、40代などバリエーションは多い。

考えてみれば、当然の話だ。100年前と比べて、日本人の平均寿命はおよそ二倍近くに伸びたのである。60歳を超えたくらいで枯れるのは早すぎる。死に別れ、離婚、未婚を問わず、恋や性を卒業する年ではないのだ。

「夫と死に別れて三年。いま37歳の未婚男性とつきあっています。もちろん、大人の関係です。そのことを二人の娘が知ることとなり、家庭騒動になっています。二人の娘はすでに結婚し、それぞれ子どももいます。私自身、夫が生きている間は夫一筋でしたが、亡くなったあとの生活の寂しさもあり、彼との関係が始まりました。彼と結婚しようなどとは思っていませんが、いまは別れたくはありません。どんな選択をしたらいいのか、ご指導ください」

58歳の女性読者から私の元に送られてきたメールの概略である。拙書の著者紹介にはメールアドレスを記してあるので、読者からの相談が月に10本くらい届く。そのなかの1本である。

このケースのように、最近、年下男性と恋愛を謳歌(おうか)する中高年の女性が街でも目につく。私のオフィスは渋谷のいわゆるラプホテル街からそれほど遠くないところにあるため、近くを通りかかることが多いのだが、そんなカップルをよく見かけるようになった。

細かなことはわからないが、私はこの相談に対して次のように返信した。
〇いくつになっても恋愛を愉しむこと自体はいいことである
〇お金を貢ぐような関係ならすぐにやめること
〇結婚については慎重に考えること
〇遺産があるなら、娘さんたちに残すものをきちんと伝えること
〇別れるときはきれいに別れること

もちろん、結婚する、しないは当事者の問題だから、第三者が軽々しく判断することはできないが、中高年になってからの再婚は、どちらかに子どもがいる場合はとくに、子どもの気持ち、親戚の気持ち、遺産など慎重に対処しなければならない問題がある。

なかでもお金の問題は何かとあとからもめやすい。結婚する場合は別としても、恋愛関係なら、お互いの資産はそのままにしておいて、つきあうなり、同居するなりするのがベターだろう。

高齢者になれば、いまさら恋愛イコール結婚という年齢でもないだろう。恋愛は恋愛として「身軽に」愉しめばいいではないか。お互いに重いものは背負わないほうがいい。

 

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川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

 
この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です

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