同棲や結婚を、男女二人で開催する「闇鍋パーティ」に例えてみる/大人の男と女のつきあい方

pixta_31408350_S.jpg40歳を過ぎ、しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実。しかし、年齢を重ねても、たとえ結婚していても異性と付き合うことで人間は磨かれる、と著者は考えます。

本書『大人の「男と女」のつきあい方』で、成熟した大人の男と女が品格を忘れず愉しくつきあうための知恵を学びませんか?

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男と女、この一線を越えてはいけない

「闇鍋」という鍋料理をご存じだろうか。
何人かの参加者が珍妙な鍋料理の具材を持ち寄り、闇までいかなくても暗い場所で、鍋のなかに入れて食べる。この闇鍋の面白いところは、自分以外の参加者がどんな食材を持ってきたかわからないこと。暗い部屋で煮えるのを待って恐る恐る食べる。料理というよりは仲間内で集まったイベント、宴会の趣向といってもいいだろう。

タバスコやアイスクリームのように熱で溶けてしまうような食材を持ってきてはダメとか、すべての食材を必ずひと口は食べて、飲み込んでしまわなければならないとか、一応、参加者がルールを決めておくこともあるようだ。

参加者を吟味せずに、信頼できない性格の悪い人間が入っていたりすると、食べるのに耐えられないような食材が放り込まれているかもしれない。

唐突なようだが、同棲(どうせい)や結婚は男女二人で開催する闇鍋パーティーのようなものだ。

男女それぞれが用意した「生まれ育ち」「知性」「感性」「容貌」「趣味」「主義」「主張」「性癖」という食材を、薄暗い部屋に用意された―つの鍋に入れて食するようなものだからだ。お互い、内心は怖々とした気分で箸(はし)をつけるのだ。そのおいしさに思わず感嘆することもあるだろう。ひと口食べて、これまでの人生でこよなく愛してきた自分の感性という食材とよく似た風味に、安心して箸を進めることもある。自分にとってはなじみのなかった相手の「趣味」という食材は、はじめこそ口に合わなかったものの、慣れてくると大好物になるかもしれない。

だが、見たこともない、匂いをかぐのもはじめての「性癖」という食材を口のなかに入れたとたん、思わず吐き出してしまうこともないとはいえない。吐き出されては、自信を持って用意しただけに、食材を入れた側はショックが大きい。「こんなはずじゃなかった」と、自信を失う。

お互い、匂いや食感だけで手の動きを止めてしまい、相手が用意した食材に箸もつけないようでは、先行き、不安がいっぱいということになる。そんな事態となれば、ほどなくどちらかが我慢できなくなる。

ルールを破って部屋の明かりのスイッチを入れ、相手の食材に異議を申し立てる。異議申し立てをされた側は売り言葉に買い言葉で、負けてなるかと大反論。またたく間に、闇鍋パーティーはお開き。離婚、同棲解消という結末になる。

だが、少しでもパーティーを続けたいと思ったら、明かりのスイッチを入れるのは我慢することだ。イヤな食感、どうも口に合わない味、いくらか気になる匂いであったとしても、表情には出さずに黙々と食べること。吐くほどではない、腹痛を起こすほどではない食材なら、とにかくはじめは我慢なのだ。

「じゃあ、明かりをつけようか」
鍋の底に食材が残っていないのをお互いに確認して、明かりをつける。それがルールだ。しかるのちに、味談義をすればいい。お互いが相手の意見に耳を傾け、修正すべきところは修正する。そうすれば、次の鍋パーティーもうまくいく。

どんなに長いつきあいをして、お互いを知り尽くしていると思っていても、同棲や結婚して一緒に暮らすとなるとそれは別問題。いままでの自分の尺度では理解できないこと、許せないことに遭遇して、そのたびにその場で怒りを爆発させていたら、うまくいかないのだ。闇鍋パーティーの、まさに「闇のなかの手探り」というルールを、しばしお互いに守らなければならない。相手が席を立った隙に、明かりをつけて鍋のなかをのぞくのはルール違反なのだ。

タレントの磯野貴理さんは、テレビ番組で年下の夫との破局を告白した。そのきっかけは、夫の携帯メールを盗み見してしまったこと。そのメールを読んで浮気を確信し、夫にその真偽を問い、夫もそれを認めたため離婚に至ったという。

そのテレビ番組で司会を務めていた島田紳助さんは、ひと言いった。
「夫の携帯に妻の幸福はない」けだし名言である。

ことの詳細はわからないが、もしかして彼女は闇鍋パーティーの途中で我慢できなくなり、明かりをつけてしまったのではないだろうか。

相手の用意した食材に違和感を覚えつつも、鍋の食材を食べ終わってから同意の下で明かりをつけ、思いの丈をぶつけていれば、また違った展開があったのではないだろうか。携帯メールの盗み見などは、男女の間においてはやはり重大なルール違反なのである。

 

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川北義則(かわきた・よしのり)
1935年大阪生まれ。1958年慶應義塾大学経済学部卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。文化部長、出版部長を歴任。1977年に退社し、日本クリエート社を設立する。現在、出版プロデューサーとして活躍するとともに、エッセイスト・評論家として、新聞や雑誌などに執筆。講演なども精力的に行なっている。主な著書に『遊びの品格』(KADOKAWA)、『40歳から伸びる人、40歳で止まる人』『男の品格』『人間関係のしきたり』(以上、PHP研究所)など。

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『大人の「男と女」のつきあい方』
(川北義則 / KADOKAWA)
「年齢を重ねても、たとえ結婚していたとしても、異性と付き合うことによって、人間は磨かれる」というのが著者の考え。しかし、40歳を過ぎてから、 しかも家庭を持つ男の恋愛は難しいのが現実です。 本書は、成熟した大人の男と女が品格を忘れず、愉しくつきあうための知恵を紹介。 いつまでも色気のある男は、仕事も人生もうまくいく!

この記事は書籍『大人の「男と女」のつきあい方』からの抜粋です
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