「制汗」と「制臭」では仕組みが全く違う! 制汗・制臭スプレー/身のまわりのモノの技術(14)【連載】

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「汗は男の勲章」などと、汗のニオイが男のシンボルとされた時代があった。しかし、今は「汗臭さ」が疎まれる時代になった。そんななか、「デオドラントグッズ」が男性に人気だ。

デオドラントグッズとは、汗を抑えたり、汗のニオイを解消したりする商品のこと。汗を抑える「制汗」、汗のニオイを取る「制臭」に大別されるが、多くの製品は両者を備えており、その区別は不明確である。

形態としては、ロールタイプ、クリームタイプ、スプレータイプの3種がある。ここでは人気の高いスプレータイプを調べてみよう。

まず「制汗」のしくみについて見てみたい。スプレーならば、それを吹きつけた部分が冷却されるので、必ず制汗効果は生まれる。そこで、商品の売りとしては、プラスアルファが求められる。いかに汗腺に働きかけて発汗を抑えるかという工夫が商品のセールスポイントになるのだ。例えば、スプレーに混ぜられた成分が汗腺に入り、直接発汗を抑える、という商品もある。

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次に「制臭」を見てみよう。意外かもしれないが、人の汗自体にはニオイがない。皮膚の常在菌が、汗を食べて繁殖する際に出す分解物が臭うのだ。そこで、ニオイを出しやすい脇の下などを殺菌すれば、汗のニオイは少なくなる。さらに、出された分解物を浄化してもニオイはなくなる。人気があるのは、銀イオンを含ませた商品である。銀イオンは人には無害で、殺菌や浄化の効果が強いからだ。

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現代の日本人はニオイを抑えることに熱心である。実際、デオドラント商品でいちばん売れているのは「石けんの香り」で、たいへん控えめな香りだ。フランスなどに目を転じると、ニオイを楽しみ、積極的にアピールする文化がある。男性も香水をつけるのが当たり前なのが、その一例である。日本も近い将来、「制臭」ではなく「発香」の文化が普及するかもしれない。そのとき、制汗スプレーの香りとしてどのようなものが好まれるのだろうか。

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涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。現在は高校の数学教諭を務める傍ら、コンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
涌井 貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程を修了後、 富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校の教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
(涌井良幸 涌井貞美/KADOKAWA)
家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」です。

 
この記事は書籍「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」(KADOKAWA)からの抜粋です。

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