体脂肪計で体脂肪率を低く表示したいなら「お昼」がオススメ!/身のまわりのモノの技術(12)【連載】

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体脂肪とかメタボリックなどという言葉が新聞や週刊誌の広告欄によく見られる。健康ブームのなかで、こうした見出しが購買欲をそそるからだろう。体脂肪を測る測定器として人気なのが体脂肪計である。

体脂肪計は体に含まれる脂肪の量を体脂肪率として表示する器具である。体脂肪率とは体重全体に占める脂肪の割合をパーセントで表したものだ。

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体脂肪率は、通常BIA法(生体インピーダンス測定法)と呼ばれる方法で測定される。体内に微弱な電流を通して電気抵抗を測定し、脂肪の割合を導き出す方法である。筋肉は水分を多く含むため電気を通しやすく、水分を含まない脂肪は電気を通さない性質がある。したがって、同一性別・同一体型ならば、抵抗値が高いほど体脂肪率が高くなる。この性質を用いて体脂肪率を測定するのである。

では、具体的にどのように体脂肪率を導き出しているのだろうか。それには、さまざまな年齢・身長・体重の人から体脂肪率と電気抵抗値の実データを取得し、統計的に電気抵抗値と体脂肪率との関係を公式化しておくのである。この公式を体脂肪計に記憶させておけば、測定した電気抵抗値から体脂肪率を求められる。

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同じ体脂肪計を利用しているのに、測るたびに数値が違う場合がある。体脂肪の量が1日で大きく変動するはずがないのに、こうした変化が起こるのは、生体の電気抵抗値に、就寝中に上昇し、起きて活動しているときには低下する性質があるからだ。食事や摂水、運動、入浴による体内水分量の変動も、電気抵抗値を変化させる要因になる。そこで、測定に際しては、リラックスした決まった時間帯で測定することが望ましい。そうしないと、測定値に振り回され、一喜一憂することになる。

周知のように、体脂肪の過剰な蓄積は生活習慣病・成人病を誘発する。しかし、体脂肪は体温保持やホルモンバランスの調整など、大切な働きもしていることに留意したい。

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涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。現在は高校の数学教諭を務める傍ら、コンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
涌井 貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程を修了後、 富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校の教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
(涌井良幸 涌井貞美/KADOKAWA)
家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」です。

 
この記事は書籍「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」(KADOKAWA)からの抜粋です。

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