【カムカムエヴリバディ】るいが語った「みんな間違う」。ラストへ続く"自分と向き合う"ことの意義

毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載をお届けしています。今週は「報われていく"鍛錬"」について。あなたはどのように観ましたか?

※本記事にはネタバレが含まれています。

【前回】"日々鍛錬"が開けた様々な扉。存分に味わいたい「つながりの妙」

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ラジオ英語講座を軸に、3世代ヒロインの100年の物語を紡ぐ、藤本有紀脚本のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の22週目。

ひなた(川栄李奈)の勤める条映村でハリウッド映画『サムライ・ベースボール』の撮影が行われることになり、アクション監督(正確には助手)として現れたのは、かつての恋人・五十嵐(本郷奏多)だった。

この再登場に「復縁来た!」と思った視聴者は多かったろう。

ところが、オーディションの仕事が一段落した五十嵐は、ひなたを飲みに誘い、衣装係のデイジーと結婚することを決めたと言う。

かわりに五十嵐が結んだのは、殺陣の師匠・虚無蔵(松重豊)を説得したことによる虚無蔵×ハリウッド映画、そして、虚無蔵×モモケン(尾上菊之助)というかつて因縁のあった2人のハリウッド映画共演という縁である。

記者発表のフラッシュを盛大に浴びながら、隣に立つ虚無蔵に言ったモモケンの言葉「暗闇にいたんじゃあ、見えないものもあるんですよ」は、もちろん黍之丞シリーズの決め台詞「暗闇でしか見えないものがある、暗闇でしか聞こえぬ歌がある」を元にしたもの。

自身も父・初代モモケンに負い目を感じていた「暗闇を知る人」だからこそ、ひなたの道の明るさ・眩しさを虚無蔵にずっと伝えたかったのだろう。

さらに、『サムライ・ベースボール』で雉真繊維の足袋が使われることになり、勇(目黒祐樹)は、「いよいよ打順が回ってきたんやな。足袋がひ孫の役に立つとは。守り続けて良かった」と涙する。

かつては野球一筋で経営のことがわからず、父(段田安則)にも呆れられることのあった勇が、大好きな「野球」と、父から受け継ぎ、必死で守ってきた「足袋」の意外な結びつきに出会うとは。

「鍛錬」が人生の中で思いもよらぬかたちで報われるのは、辛いときも耐えて生き続けて来たことで得られるギフトだろう。

一方、錠一郎(オダギリジョー)とトミー北沢(早乙女太一)は、クリスマスフェスティバルでの演奏を頼まれる。

それは錠一郎がジャズと出会った場所で、るい(深津絵里)の母・安子(上白石萌音)は定一(世良公則)の歌う「On the Sunny Side of the Street」を聴いた場所で...。

そんな折、るいは、病気で入院した雪衣(多岐川裕美)を見舞うため、岡山の病院を訪ねる。

そこで雪衣が語ったのは、安子に対して抱いたどす黒い気持ち。

そして、自身の言葉が安子とるいを引き離したきっかけになったかもしれないことへの後悔と謝罪だった。

るいは雪衣に「もう自分を責めんといてください。みんな間違うんです」と言う。

自分の行為と向き合うこと、謝罪すること、それを許してもらえるためにも、やっぱり時間が必要だ。

この許しもまた、雪衣が鍛錬の末に、人生の最後に手に入れた大切なギフトだったろう。

いよいよ最終週には、安子とるいがつながりそうな気配だが、誰もが気になっているのは、ハリウッドのキャスティングディレクター、アニー・ヒラカワ(森山良子)が安子ではないかということ。

4月1日放送分では、ひなたが差し入れした回転焼きについて「どうしてあんなに美味しいのかしら」とアニーが尋ね、ひなたが「それはおまじないをかけているから」と、たちばなの「あんこのおまじない」を英語で再現してみせたところ、動揺した様子で立ち去ってしまったのだ。

ますます安子=アニー説が濃厚になったが、はたして...?

現時点でまだ積み残されているのは、岡山のジャズ喫茶で登場した「たちばな」の包装紙や、安子の親友・きぬのその後、ひなたの初恋のビリー、さらにずっとご無沙汰したままの、るいの大阪のお父さん・お母さん"竹村夫妻"のその後など...。

残り5話でそれらがいかにつながっていくのかを最後まで見守りたい。

文/田幸和歌子

 

田幸和歌子(たこう・わかこ)
1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。ドラマコラムをweb媒体などで執筆するほか、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などで医療、芸能、教育関係の取材や著名人インタビューなどを行う。Yahoo!のエンタメ公式コメンテーター。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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