胃腸の粘膜を保護するビタミンUや、がん予防に効果があるとされるファイトケミカルなど、豊富な栄成分を含むキャベツ。酢に漬けて「酢キャベツ」を作れば、こうした栄養素を効果的に取り入れることができます。いろいろと使えて、調味料代わりに用いれば減塩も可能。今回は、管理栄養士で料理研究家の村上祥子(むらかみ・さちこ)さんに、「酢キャベツの健康効果と作り方」を教えてもらいました。
身近な野菜の代表格キャベツは、じつは健康効果の高い野菜です。
淡色野菜の中でもトップクラスの含有量を誇るビタミンC・U、カリウム、ファイトケミカルまで。
豊富な栄養を含んでいます。
●キャベジンパワーで胃炎・胃潰瘍を予防
キャベジンの呼び名でおなじみのビタミンUは胃酸の分泌を抑制し、胃腸の粘膜を保護・回復させる効果があり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を改善します。
ビタミンUは生食でこそ効果的に利用できます。
●ファイトケミカルにがん予防効果あり
アメリカ国立がん研究所ががん予防効果のある食品を選出した「デザイナーフーズ」のトップに、にんにくなどといっしょに選ばれているのがキャベツ。
辛味成分のイソチオシアネートが発がん物質を無毒化します。
●酢キャベツで栄養をもれなく
イソチオシアネートは切る、する、つぶす、かみ砕くなど野菜の繊維を断ち切ると効率的に摂取できます。
また、酢に漬けておくことで野菜の酵素は活性が維持できるので、酢キャベツがおすすめです。
●漬け酢もいっしょに
キャベツが豊富に含むビタミンCやビタミンUは水溶性です。
このため、酢キャベツの漬け酢には栄養成分が溶け出ているので、調味料代わりに使うと無駄がありません。
また、料理に酢を使うと減塩にもなります。
●酢で代謝力がアップ
酢+砂糖は体内でクエン酸回路(TCAサイクル)に働きかけて、エネルギー消費をアップ。
つまり代謝の良い体作りに役立ちます。
血流が良くなるので血圧は低下。
血色も良くなり、肩こりや腰痛、冷えやむくみの改善を促します。
酢キャベツの作り方
酢キャベツ100g(漬け酢含む)あたり59kcal/塩分0.8g
材料(酢キャベツ700g分)
キャベツ...500g(約1/2個)
(A)酢...150ml
(A)砂糖...60g
(A)塩...小さじ1
作り方
(1)キャベツは半分に切り、芯は付けたままスライサーでせん切りにする。まな板やボウルでスライサーを使うと滑るので、乾いたふきんにのせてスライスすると扱いやすい。または包丁でせん切りにする。
(2)芯のそばにきたら、フォークを芯に刺してスライスすると無駄がなく、安全にできる。
(3)鍋にAを入れて火にかけ、煮立ったら火を止める。
(4)ボウルに入れたキャベツに(3)を回し入れる。
(5)皿数枚を重ねておもし代わりにのせる。
(6)漬け酢がキャベツを覆うようになったらできあがり。
●冷蔵で1カ月保存できる。
●漬け酢が残った場合、新しくキャベツを刻んで漬けると良い。その際、漬け酢は一度煮立たせた方が早く漬かる。
●スライサーでせん切りにすると、大きさがそろいやすいのでおいしくできる。
●砂糖を同量のきび砂糖、黒砂糖に代えても良い。またははちみつなら140gを使用。
※保存容器は清潔で完全に乾いたものを利用する。
春キャベツはやわらかいので
「ザク切り酢キャベツ」もおすすめ
材料や作り方は同じで、切り方をザク切りに変えるだけです。
キャベツを半分に切り、芯を外す。内側の葉から数枚ずつ、食べやすい大きさにちぎるか、包丁でザク切りにする。
取材・文/石井美佐 撮影/スタジオCOM(中野正景・江口 拓)