
『うちのワンコが、ニャンコが、死んじゃったらどうしよう』 (獣医師シワ男/KADOKAWA)第5回【全10回】
愛する家族、ワンちゃんやネコちゃんとの「お別れ」は、いつか必ず通る道。大人世代の飼い主にとって、その不安は切実なものです。書籍『うちのワンコが、ニャンコが、死んじゃったらどうしよう』(KADOKAWA)は、長年多くの動物を見送ってきた獣医師が、その不安を「安心」と「癒やし」に変えるためのヒントを伝えています。涙なしには読めませんが、読み終えたとき、きっと心の準備ができ、後悔のない看取りへの道筋が見えてくるでしょう。今回はこの本の中から「最期に、この子にとって本当に幸せな選択は何か?」という問いと向き合うために、知っておきたいことをご紹介します。
※本記事は獣医師シワ男 (著)による書籍『うちのワンコが、ニャンコが、死んじゃったらどうしよう』から一部抜粋・編集しました。
病気は突然やってくる
犬猫が、突然、病気になるとショックだよね。
「なんで?」「どうして?」って思っちゃう。
病気の初期は、症状がないからわからない。症状が出てきた時にはけっこう進行していて、突然、病気になったと感じてしまう。
症状がない病気の初期の段階で対処していくためには、健康診断を受けておくことが大事になるけど、犬猫が元気で何にも異常がないと、病院に連れて行く気にならないよね。それはしょうがない。
だとしたら、考えてみてほしい。
犬猫の平均寿命は15歳ぐらいだから、一緒にいられる時間は15年ぐらいになる。ぼくら飼主が生まれて中学生ぐらいまでを、短いと思うか長いと思うか。15年しか一緒にいられないなんて、僕は犬猫の寿命は、儚いなって思う。
子犬、子猫の時なんて短くて、すぐ成犬、成猫に。成犬、成猫になったら、あっと言う間に7歳のシニアに。「まだ、若いな」って思っていると10歳に。「もう10歳か~」と、健康に気をつけてあげようとなった時、急にいろんな病気がでてきたり、体にガタがきて、飛び上がれなくなったり、動きが緩慢になっていたりする。
10年は約8万7600時間。時間に換算すると長く感じるけど、犬猫からしたら10年で高齢になる。犬猫が10年過ぎたら、あと何年生きるだろうか。倍の時間を生きられるのか、5年ぐらいなのか、考えちゃう。
10歳で白内障になったら手術を勧めるけど、15歳で白内障になったら、その先あと何年過ごせるのか考えると、一概に手術を勧めるのがいいとは言えない。手術をするメリット、デメリットを飼主さんにお伝えして、「どうするか」になるね。
そう考えると、犬猫の生涯は、儚いなって思う。
あとから、「あれをしておけばよかった、これをしておけばよかった」では犬猫は間に合わない。今できることは、今しておこう。悔いのないように犬猫と過ごそう。
イラスト/坂野りんこ








