近年ますます注目を集める「腸活」。腸の中で働く 善玉菌" を増やすことは、健康維持に欠かせません。そこで今回は腸内細菌研究の第一人者である國澤 純(くにさわ・じゅん)さんに、腸の中の菌が喜ぶ食材を教えていただきました。
菌が喜ぶ食事を意識して 体の中から元気に
腸内細菌は、食物繊維や難消化性オリゴ糖をエサにして『短鎖脂肪酸』という成分を作ります。
この短鎖脂肪酸には、酪酸・酢酸・プロピオン酸などがあり、免疫力を保つ働きや、代謝を助けるなど、体にとって良い影響があることが分かってきています。
「しかし、ただ食物繊維をとればいいわけではありません。食物繊維から糖を作る菌、それを使って乳酸や酢酸を出す菌、さらに乳酸や酢酸をもとに短鎖脂肪酸を作る菌など、それぞれの菌が、リレーのバトンをつなぐようなイメージで、順番に働くことが大切です」(國澤純さん)
菌が喜ぶ食材を上手にとって、菌のリレーを助け、健康な暮らしを手に入れましょう。
腸活ごはん3つの必須キーワード
1.菌が喜ぶ
「私たちが食事から栄養をとるように、腸内細菌も元気に働くためのエサが必要です。そのエサになるのが、大腸まで消化されずに届く食物繊維や難消化性オリゴ糖です。また、豚肉や大豆に含まれるビタミンB₁は糖をエネルギーに変えるのを助け、菌が短鎖脂肪酸を作る働きにも影響を与えます。こうした栄養素を含む食材を積極的にとりましょう」(國澤さん)






2.糖化菌
「炭水化物を分解して糖に変え、腸内細菌のエネルギー源を生み出すのが糖化菌です。小腸内に生息していますが、数が少ないと糖がうまく作れず、菌のリレーが止まってしまう可能性大。糖化菌の例として納豆菌や麹菌があり、これらは発酵食品に多く含まれています。納豆やみそなど身近な発酵食品を食事に取り入れるのがおすすめです」(國澤さん)




3.乳酸菌・ビフィズス菌
「乳酸菌は主に小腸にすみつき、乳酸を作って腸内を酸性に整え、腸の免疫を活発にする働きを担っています。ビフィズス菌は主に大腸に存在し、食物繊維をエサにして短鎖脂肪酸を作り、腸のぜん動運動の促進や免疫のバランス調整、食欲を抑えるといった、体の代謝に係る調整をする働きを持っています。どちらも過不足なくとりたい菌。ヨーグルトや発酵食品を積極的に食べましょう」(國澤さん)




「ばっかり食べ」は厳禁です
「毎日の食生活を考える上で、絶対にやめてほしいのは〝ばっかり食べ〞。いくら健康に良いとされる食材でも、毎日同じものばかりを食べてしまうと、一部の菌にしか効果がないという結果になってしまいます。腸内には、1000種もの菌が存在します。菌の1つ1つが体に良い方向に働くよう、さまざまな食材をバランスよくとりましょう。納豆やヨーグルトは、種類を適度に変えることをおすすめします」(國澤さん)
この記事は紙&WEBマガジン『毎日が発見』2025年11月号に掲載の情報です。
構成・取材・文/和栗 恵 イラスト/秋葉あきこ




