寒さが厳しくなる季節、毎年のように冷え性に悩まされている方も多いのではないでしょうか。また、近年では冷房の効きすぎや急激な寒暖差の影響で、1年を通して冷え性に悩む方が増えているともいわれています。冷え性対策として温かい食事や厚着などが一般的ですが、実は日常生活の中で「自律神経を整える」ことが冷え性の改善において重要だと、心療内科医の姫野友美さんは指摘しています。
ひめのともみクリニック院長 姫野友美先生
そこで今回は、日々の生活で欠かせない「食事」「入浴」「睡眠」に焦点を当て、自律神経を整えながら冷え性の改善が期待できる方法について姫野友美先生に教えてもらいました。
冷え性と自律神経は密接な関係が!スマホ、PC画面の見すぎは冷え性になりやすい!?
実は冷え性の原因には自律神経が深く関係しています。自律神経は体の調子を整えるためにあり、緊張したり、集中したりすると優位になる「交感神経」と、リラックス状態のときに優位になる「副交感神経」があります。
「交感神経」は緊張したり、集中したりすると優位に。「副交感神経」はリラックス状態のときに優位になる
交感神経が優位になると血管が収縮して血流が悪くなります。冷え性の大きな原因のひとつに血流不全がありますので、交感神経が優位の状態が多い人は冷え性になりやすいといえるのです。
交感神経が優位になると、血管が収縮して血流が悪くなる
クリニックを受診される冷え性に悩む患者様の中には、デスクワーク中心の男性患者様もコロナ禍以降から多くなっていると感じます。これは座位の状態が続くうえ、PC画面を見て仕事に集中すると交感神経が優位の状態が続いて、血流がより悪くなってしまうからだと考えられます。
スマホ、PC画面の見すぎは冷え性になりやすい!?
冷え性の原因になる交感神経を薬などで無理やり抑えようとすると、昼間でも眠くなってしまうなどして、日々のパフォーマンス低下につながりかねません。そのため、副交感神経を優位にする時間を増やす対策が必要です。
しかし、仕事や育児で忙しく、PCだけでなく、スマートフォンを多用することが多い昨今では、リラックスをして副交感神経が優位な時間を増やすことはなかなか難しいと思います。そこで、生活の中で欠かせない「食事」「入浴」「睡眠」において、副交感神経が優位になる時間を増やすための簡単な工夫をご紹介します。
冷え性を改善するには副交感神経が優位な時間を増やすことが大事
【食事編】 いつもの食事にオメガ3(アマニ油・えごま油)をプラス!
からだ本来の機能を整えるとして、近年注目されているアマニ油
青魚やアマニ油、えごま油に含まれる「オメガ3」という栄養素は、神経の伝達をスムーズにする働きがあり、交感神経が優位の状態から副交感神経を優位にするまでの時間を短くして、切り替えを素早く行えるようにします。
また、「オメガ3」は血管壁の弾力性を改善する働きもあり、その観点からも血流改善に寄与し、冷え性の改善が期待できます。特にアマニ油やえごま油はお好きな料理に1日小さじ1杯かけるだけでよいため、手軽で続けやすくおすすめです。
【入浴編】 お湯にしっかりと浸かることが自律神経の面でも大事
お湯にしっかり浸かることで副交感神経を優位に
クリニックを受診される冷え性に悩む患者様は入浴をシャワーだけで済ませている人が多いです。お湯にしっかり浸かることは体を温めて血流を良くするためはもちろん、40℃ほどの「ぬるめのお湯」に10~15分、じんわりと汗ばむまでゆったりと入れば、カラダがリラックスして副交感神経を優位にすることができます。
また、マグネシウム入りの入浴剤を使ってみることをおすすめします。マグネシウムは血管を拡張させる働きがあり、血流改善効果が期待できます。食品にも含まれる安全な成分ですのでぜひ試してみてください。
【睡眠編】 いつもの睡眠時間にプラス1時間。豆乳+アマニ油で目覚めもすっきり!
寝る前にアマニ油を入れた豆乳をとることで目覚めもすっきり!
経済協力開発機構(OECD)が行った調査(※)では、日本人の平均睡眠時間は7時間22分と、調査対象の33か国の中で最も短いことが報告されています。睡眠中は副交感神経がONになっている貴重な時間ですので、いつもの睡眠時間にプラス1時間できるように意識するとよいでしょう。
※経済協力開発機構(OECD)、Gender data portal 2021
また、寝る前にアマニ油を入れた豆乳をとることをおすすめします。豆乳は自律神経を整える脳内ホルモンの合成に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルを多く含み、さらにアマニ油を一緒にとることによって、副交感神経への切り替えがしやすくなることに加え、夜間低血糖も防げるので朝の寝起きがよくなります。
まだ厳しい寒さが続くこの時期。冷え性改善のヒントとして、これらの対策をぜひ日々の生活に役立ててみてはいかがでしょうか。