元気な日はもちろん、多少疲れている日でも、おいしいごはんがあるとホッとするし気分も上がる。栄養を考えた食生活ももちろん大事だが、「おいしいものを食べる」という行為は、それだけで心の栄養になるものだ。
※この記事はダ・ヴィンチWebからの転載です。
『なんでもない日のおいしいおにぎり』(日々おにぎり/ゆこ/自由国民社)は、そんな心身の栄養になってくれそうな、手軽でおいしいおにぎりを150種類も集めたレシピ本。本書を手掛けた日々おにぎり/ゆこ氏は、レシピ本大賞2023入賞の『毎日おにぎり365日』(自由国民社)の著者であり、おにぎり作家として人気のインフルエンサー。自身の食べるおにぎりを日々SNSに投稿しており、その身近ながらも工夫の詰まったレシピで注目を集めている。
本書内のレシピは「火も包丁も使わないくたくたな日のおにぎり」「火と包丁は最小限★なんでもない日のおにぎり」「いつもよりひと手間★ちょっと特別な日のおにぎり」の3ジャンルに分けて掲載されており、その日の気分や体力に合わせたおにぎりを選ぶことができる。また、巻末には「具材別さくいん」がついており、家にある食材からレシピを探せるのも嬉しい。そこで3ジャンルから1品ずつ作ってみた。
コーンのお茶づけおにぎり
まずは、「火も包丁も使わないくたくたな日のおにぎり」から「コーンのお茶づけおにぎり」。ごはんに水切りをしたコーン缶とバター、海苔茶漬けの素を混ぜ込んで握るだけ。
バターとコーンの組み合わせはよくあるが、ここに海苔茶漬けの素が加わることで味が引き締まり、驚くほどバランスの取れた味わいに。塩気と出汁の風味でコーンの甘さも引き立ち、ちゃんと食事感も生まれている。あられの食感がアクセントになっているのもいい。バターとコーンに醤油ではなくお茶漬けの素を合わせるのは目からウロコな組み合わせだった。
ブロッコリーと鮭のたぬきおにぎり
続いて、「火と包丁は最小限★なんでもない日のおにぎり」から「ブロッコリーと鮭のたぬきおにぎり」。加熱してひと口大に切ったブロッコリーとほぐした焼き鮭、天かす、麺つゆをごはんに混ぜ合わせ、あとは握れば完成だ。ちなみに焼き鮭は、粗ほぐしの鮭フレークを代用。
ごはんが焼き鮭と麺つゆ、天かすから出る溢れんばかりのうまみを纏い、そこにブロッコリー特有のほのかな甘みと青臭さが加わることで、より味に深みが生まれている。飽きのこないおいしさでいくらでも食べられる。鮭のピンクとブロッコリーの緑が鮮やかなので、お弁当用としても重宝しそう。
チキンカレー風おにぎり
最後は、「いつもよりひと手間★ちょっと特別な日のおにぎり」から「チキンカレー風おにぎり」。まずは小さく切った鶏もも肉を炒めて火を通し、塩コショウで味つけ。あとは軽く砕いたカシューナッツ、カレーパウダーとともにごはんに混ぜて握れば完成。
鶏もも肉のガツンとくる食べごたえ、カシューナッツの香ばしさと歯ごたえ、カレーのスパイシーな風味がごはんと合わさり、「これ嫌いな人いないんじゃない?」と思うくらいおいしい。忙しいと不足しがちなたんぱく質や食物繊維が摂れるのもありがたい。より時短したい人は、鶏肉とカシューナッツを塩コショウとカレーパウダーで炒めて作り置きしておくのも手だと感じた。
作った3品とも驚くほど簡単で、なのに目新しさを感じられる工夫があり、「また作りたい!」と思わせられるおいしさだった。そしておにぎりの自由さに感銘を受け、もっといろんな組み合わせを試してみたくなった。これ一冊あれば、おにぎりがもっと身近になること間違いなし!
文=月乃雫