「努力は裏切らない」を体現するような天才女子大生の姿と、その裏側に隠された"もう1つの顔"を描いた衝撃の漫画『努力は裏切らない?』。作者は『先輩は綺麗な人だった』などの漫画で大きな話題を集めた理系女ちゃん(@rikejo_chan)さんです。執筆の背景について、お話を伺いました。
誰もが努力すれば成功をつかめる?
海外の大学院に進学することが決まった主人公・きらら。彼女は高校に入学した頃、流行りの音楽を聴いたりブランド品を身に付けたりする同級生たちの姿に社会の格差を味わい、"親ガチャ"にも失敗したと感じていました。
きららは一念発起して努力し、東大に合格するも、さらなる格差を味わうことに。しかしそれでも諦めずに誰よりも努力を重ねた結果、海外の有名大学院に進学する権利を掴み取ります。
ところが後半では、展開が一変。きららの高校の同級生だったという人物の視点から、実はきららの人間性が最悪だったこと、それなりに恵まれた環境で育っていたことが明かされます。さらに本当の成功のきっかけは、努力ではなくSNSでの脚色された発言だということも...。
努力だけでは報われない現実を描く
──人生は「努力」次第でどうにでもなるのか? それとも結局「生まれ」によって左右されるものなのか? とても考えさせられるテーマでした。このテーマを選んだ理由やきっかけはあったのでしょうか?
「努力すれば報われる」と多くの人は信じたいと思います。しかし本作品では、それに反する現実を描くことから生まれました。世の中では、努力が成功の鍵だと説かれる一方、生まれ持った環境やスタート地点が大きな影響を与える場面も少なくありません。自分自身や周囲の人々の体験から、これをどう表現するかがきっかけとなりました。
──表主人公のきらら、裏主人公の光。2人の環境や性格は大きく異なりますが、どちらも他人と比較して「格差」を感じている点で共通しています。「理系女ちゃん」さんもこのような「格差」を感じた経験はありますか?
「格差」を感じた経験はあります。特に学業やキャリアの中で、周囲の人々と自分との違いを意識することが多かったです。私たちは同じ世界を生きていますが生き方は人によって全然違います。親からの理解が得られず大学の学費を自分で工面する子もいれば、小学校から親に短期留学させてもらえる子もいて、でもそれが受験や就職のタイミングで同じ枠組みで評価されるのは残酷だと思いました。
真面目な努力によって成功をつかんだ女子大生の物語かと思いきや、綺麗ごとではない現実が次々と明かされていく衝撃の展開。「努力は裏切らない」という言葉は真実なのか、幻想なのか。誰もが考えさせられるテーマではないでしょうか。