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「頭の中がごちゃごちゃで、仕事が前に進まない」「次から次へと問題が起こってスケジュールが遅延している」...こうした複雑な問題を一瞬でシンプルにしたいなら、紙に、2本の線を引いてみてください。
本書『2軸思考』で、あらゆる問題をタテとヨコの2軸で整理して考える方法を学び、最速の時間で最大の成果をあげていきましょう! 今回はその7回目です。
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前の記事「あなたの上司は仕事の「全体像」を知りたがっている/2軸思考(6)」はこちら。
ムダに考えない
よく経営戦略で「選択と集中」が重要だということが言われますが、これは思考においても同様です。「考える枠を決める」と「全体像を捉える」で述べたように、情報が枠で整理されて全体像が把握できると、これまで雑多だった情報がすべてきれいに可視化されます。ごちゃごちゃに詰め込まれていた要素をすべて取り出し、表に整理して並べたという状態です。
考えるときは、そこから重要なものだけを「選択」し「集中」して掘り下げていきます。
このとき一番良くないのが、なんとなく全部を考えること。完全に時間のムダです。1時間の思考時間を、ムダな検討にまで時間をかけるのか、効果の高い重要なことだけに費やすのか。それによって、仕事の成果が大きく変わってくるのです。
選択と集中は「ぬり絵」で考える
「思考の選択と集中」を考えるとき、私はよく「ぬり絵」のイメージを使います。これも2軸思考のひとつです。
いま考えるべきではない枠をグレーでぬりつぶすことで、枠の中で重要度の濃淡がつき、必要のない部分を考えなくて済むようになります。
たとえば図0-3のように、東京、大阪、名古屋、福岡の売上データについて考える場合。「売上の伸び悩みをどう解決するか」がテーマであれば、売上が伸びている大阪、名古屋については考える必要がありません。4都市を考えるよりも、2都市だけを考えるほうが、単純に時間は半分になります。反対に同じ時間を考えることに費やすならば、思考できる時間は2倍に増えるのです。
ちなみに、私は自分の1週間のスケジュールもぬり絵で考えています。
手帳の見開きが1週間の「全体像」です。この中で、まず定例ミーティングですでに埋まっている時間帯をグレーでぬりつぶします。ここには当然予定を入れられないので、「ないもの」と考えます。
反対に重要なミーティングを違う色でぬりつぶすと、それが際立ちます。結果、その直前にはできるだけ他の仕事を入れないよう、注意することができます。
あとから入ってきた新しい打ち合わせなどを調整する場合、調整可能な時間帯とそうでない時間帯がパッと見てわかるので、予定が立てやすくなります。
よく、重要なミーティングの前に他のミーティングを入れてしまって十分に準備ができないまま臨んでしまう人がいますが、それは1週間の中の時間の濃淡を把握しておらず、適切なペース配分ができていないことが原因です。
次の記事「2軸思考は「普通の人」にとっての武器/2軸思考(8)」はこちら。
木部 智之(きべ・ともゆき)
日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には 最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(KADOKAWA)がある。
『2軸思考』
(木部智之/KADOKAWA)
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