世界で活躍する人気ジャズピアニストの木住野佳子さん。夢は「95歳で真っ赤なドレスで演奏する」ことだそうです。普段のステージでは華やかな服、日常スタイルはとにかく動きやすいことを考えているそうです。そんな木住野佳子さんの過去、現在と未来についてお伺いしました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2024年3月号に掲載の情報です。
舞台と日常ではON ・OFFを切り替え。ステージでは華やかに、日常ではスポーティに
死ぬまで好きなことを続けたい。
95歳でもステージに!
実力派の人気ジャズピアニストとして活躍し続ける木住野佳子さん。
ライブはもちろん、20枚ものアルバムを発表、映画やCMの音楽も作曲するなど、精力的に活動中です。
「大学ではクラシックを学んでいましたが、やはり好きなのはこっちだな、と卒業後はジャズに方向を定めたんです」
とはいっても、演奏の経験を積み活動するためかなりの苦労もしたとか。
「当時携帯もないですから、雨のなか公衆電話からライブハウスに電話をかけ続け、『ライブをやらせてもらえませんか』と何度も交渉したり。大変だったけど、好きだからできたなと」
そんな日々のなか、35歳のときアメリカの名門レーベルGRPに見出され、世界デビュー。
舞台を世界に移して活躍することに。
「海外でも日本でも、ステージ衣装は客席から見て映えるものを選びます。最近よく着る赤の衣装は、私の気分がアガるだけでなく、客席もワッと盛り上がるんですよ。着る色は、見る人の感情も大きく動かしますよね」
ステージでは華やかな木住野さんですが、日常スタイルはとにかく動きやすいもの。
今日のスタイルは、エムポルクのボーダーシャツに春らしいイエローのパンツで散歩にもピッタリ。
「毎日何時間も練習するので、アスリートのようなもの。手を使うから、このトップスのように袖が短いものが多いかな。ピアノは座っている時間が長いので、毎日散歩に出て足を動かすのが日課です」
そんなふうに体を動かす努力を続けていても、50歳ごろから、筋力の衰えや体形の変化を感じることもあったとか。
「でもそのぶん、音の深み、表現力などでは、若い頃できなかったことができるようになったと感じられます。好きなことには、死ぬまで終わりはないなと思うんです」
生きている限り、ピアノはずっと弾き続けていきたいそう。
「現在、96歳で現役のニューヨークのピアニストさんがいて、素晴らしいんですよ!」といたずらっぽく微笑みます。
「95歳で真っ赤なドレスで演奏できたら素敵ですよね?」
華やかなドレスで奏でる彼女の調べは、きっと30年後も深みを増しているに違いありません。
取材・文/黒木博子 撮影/かくたみほ スタイリング/岡部久仁子 ヘア&メイク/佐藤トモコ