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オナラと香水の"意外"な共通点とは?
オナラは窒素や水素、炭酸ガス、酸素などが主な成分で、そのほとんどは、食事のときなどに口から入った空気である。オナラといえば、やはりそのニオイが気になるところだが、これらの物質はほとんどニオイの原因とならない。
そのニオイの元凶となっているのは、全体の1パーセントにも満たない、インドールやスカトール、硫化水素といった物質だ。これらは小腸や大腸で消化されなかったタンパク質を、腸内細菌が分解していく過程で発生するため、肉や卵、豆類をたくさん食べたあとに、くさいオナラが出やすいと考えられている。
そして、ニオイの元凶の一つである硫化水素は、卵の腐ったようなニオイとか、腐敗臭と表現されるが、これは自然界でも火山の近くや、温泉で発生している。一方、インドールとスカトールは、動物の排泄物の中に含まれる物質だが、その濃度によって、香りを一変させることでも知られている。
まず、インドールは、室温では大便臭のする固体物質だが、薄めて低濃度にすると芳香が漂う。オレンジやジャスミンなど、多くの花の香りにも含まれている成分で、香水に使われる天然ジャスミン油には、一般的に約2.5パーセントの合成インドールが使われている。
続いてスカトールは、ギリシャ語で「ウンチ」を意味する「スカト(skato)」が語源となった物質。インドールと同じく、薄めるとジャスミンやスミレのような香りになることが知られている。奥行のある香りを演出するために欠かせない存在として、さまざまな香水や香料に用いられているのだ。