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怠け者のナマケモノ、その恐るべきスローライフ
中南米の森林に住むナマケモノは、その名のとおり「怠(なま)け者」だ。一生のほとんどを木にぶら下がって過ごし、1日に数メートル動くだけ。エサはどうしているのかと思えば、草食性なので手の届く範囲にある草や木の実を食べ、自分の体に生えたコケまで口にする。
さらに最近の研究では、ナマケモノはほかの生き物とタッグを組んで、怠けながら栄養補給している実態が明らかになった。
ナマケモノの体は長い毛で覆われ、そこにはしばしば昆虫が寄生している。暖かくて雨が当たらない毛の中は安全だし、しかも家主のナマケモノはほとんど動かないのだから、昆虫にとっては絶好のすみかなのだ。
そんなナマケモノが木から降りるのは、排便タイムだけ。動きの遅いナマケモノは、地上に降りると肉食動物に襲われやすいため、排便の回数は極力少なくなっており、1週間に1度ほどだ。便秘なわけではなく、ナマケモノがエサにしている木の葉は堅くて栄養が少なく、消化に時間がかかるので、これで十分なのだという。
排便を終えたナマケモノは、早々に、それでも遅い動きで木の上に戻るが、このとき、ナマケモノの毛の中にいるガが、家主のウンチに卵を産みつける。やがてウンチの中から孵化(ふか)したガは、木の上いるナマケモノのところに飛んでいき、毛の中にもぐり込む。そして、ガは毛の中の窒素量を増やし、少量ながらウンチもするので、これがナマケモノの毛に生えるコケや藻の栄養になる。ナマケモノは、そのコケや藻を食べることで、栄養補給をしているのだ。
究極の共生関係で、リサイクルも完璧。ナマケモノの"スローライフ"は、何ともうらやましいかぎりである。
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『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
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