毎日の徒然の思いをツイッターにつぶやいている溝井喜久子さん。ツイッターを始めたのは76歳のとき、そして83歳になった今は8万8000人以上の人とつながっています(2017年8月現在)。多くの人にその「つぶやき」が支持される理由とは。
私にはできない?なんて尻込みしない。
やってみなくちゃわからない!
テーブルにずらりと並べられたのは、11台のタブレットとスマートフォン。画面上で指先や専用ペンを使って操作する、薄型のコンピューターです。これを使って何をするのかといえば、ソーシャルネットワーキングシステム、通称SNS(エスエヌエス)。ITは縁遠いという人も名前は聞いたことがあるでしょう。そう、溝井さんは、毎日徒然の思いをここに書き込んで、流行言葉に直せば〝つぶやいて″、家にいながら自分の思いを発信する話題の女性なのです。
始めたのは76歳のとき。友人からイベントの告知を広めるにはどうしたら?と相談され、インターネット上で試したのがきっかけでした。以来、そのつぶやきはあっという間に人気を呼んで、一主婦だった暮らしが一変。いまでは8万8000人以上の人(2017年8月現在)が溝井さんのひと言を待つようになりました。ある日は世の中の価値観の変遷を、ある日は戦中や戦後の体験を。その内容はさまざまです。「パソコンは苦手という人が多いけど、私は好奇心が強いから、始めるのに何の抵抗もなかったわ」溝井さんはそう言って笑います。
後編「ツイッターで8万8000人の人とつながる溝井喜久子さん(2)80代になったいまが一番忙しい」はこちら。
溝井喜久子(みぞい・きくこ)さん
1934年生まれ。教職に就いた後、26歳で専業主婦に。2010年からツイッターを始め、体験や価値観をつぶやき、含蓄ある言葉が共感を呼んでいる。
ツイッターアカウント @kikutomatu
戦争中の経験、敗戦後の暮らし、高齢者問題、男と女の話など。溝井さんの2010年~2015年12月までのツイッターのつぶやきを抜粋し、加筆・修正した一冊。1,000円+税(KADOKAWA)