一流のプレーヤーは0.1秒でもボールを見る時間を減らしている/遠藤保仁「一瞬で決断できる」シンプル思考(9)

一流のプレーヤーは0.1秒でもボールを見る時間を減らしている/遠藤保仁「一瞬で決断できる」シンプル思考(9) pixta_1465857_S.jpgなぜ体力測定B判定でも、日本代表として世界を相手に活躍できたのか?

数々の記録をもつ天才サッカー選手・遠藤保仁の「最速で最高の決断」をくだす思考のつくりかたの極意を大公開!
「やることが山積みで全然前に進まない」「頭の中がごちゃごちゃでつらい」などの悩みをかかえているあなた、本書『「一瞬で決断できる」シンプル思考』から考え方のコツを学びましょう。

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ギリギリまで情報収集する

頭を使って賢いプレーをするには、できるかぎり情報を集めることが大事だ。試合中のピッチ上ではサポーターの歓声にプレーヤーや監督の声はかき消されてしまうので、最後に頼りになるのは自分の目で集めた情報である。

一流の選手は、まるで上空からフィールドを見ているかのようなパスを出すことがある。そんなプレーを見せられると「そんなところまで見えていたのか」と驚くものだ。しかし、もちろん、現実的に上空に目があるわけではない。フィールド上でできるかぎり情報を集めた結果、繰り出されたパスなのである。

視野が広い選手は、いつも顔を上げて、できるだけ広範囲を見て状況を確認しているものだ。僕もプレー中は、ボールをもっているときも、もっていないときも、常に情報収集を欠かさない。自分にパスが入る前に、敵や味方がどこにいて、どんな動きをするだろうかを予測する。そして、自分にパスが入ったときにどんなプレーをすべきか、選択肢を用意するのだ。当然、自分にパスが入ったときには状況が変わっている。そのため、ボールをもちながらまわりを見渡し、最善のプレーを選択することになる。

 

0.1秒でもボールを見る時間を減らす

このとき、ボールはほとんど見ていない。ロングボールを蹴るときはさすがに直前にボールを見るが、パスを受けてボールを置くところが決まれば、だいたいどこにボールがあるか見なくてもわかる。短いパスならボールを見なくても、正確なパスは出せる。だから、頭を上げた状態でギリギリまで目を使って情報収集をし、最善のプレーを選択できるのだ。

もしボールを見てプレーをしていたら、そのぶん、目から収集できる情報量は少なくなる。サッカーは常に人もボールも動いているスポーツなので、コンマ何秒かでもボールを見てしまうと、状況がガラッと変わってしまうのだ。

だから、一流のプレーヤーになればなるほど、ボールを見るために頭を下げる時間が少ない。0.1秒でもボールを見る時間を減らしている。ヘッドダウンすることでプレーの質が下がることをよく理解しているのだ。もちろん、ボールを見ずにキックするには、長年の反復練習が必要になるわけだが。

営業や商談、プレゼンなども、情報収集が大事であることは、同じではないだろうか。相手の表情やしぐさ、態度を見て、こちらの発信する話に興味があるかどうかがわかる。身を乗り出してきたり、目の色が変わったりという変化が見られれば、もっと攻めてもいいだろう。しかし、話に集中していないようだったり、時計にチラッと目をやったりするようであれば、発信している情報に興味が薄い証拠。そのときは、話題を変えるなど攻め方を修正する必要があるだろう。

プレゼン資料や原稿ばかり見て、下を向いていては最善の選択ができないと思う。顔を上げることの大切さにおいては、サッカーも仕事も同じではないだろうか。人生においても、上を向いて歩いているだけで、自然と心が上向きになりポジティブ思考ができる。体と心は、連動しているのだ。

組織のリーダーにとっても、情報収集は必須のスキルである。集めた情報をもとに全体の「流れ」を見て、組織をコントロールする必要がある。

僕はガンバ大阪でゲームキャプテンを務めることがあるが、試合の流れや相手チームや自分のチームの状況などの情報を集めながら大局観をつかむのは、キャプテンの役割でもある。リーダーの立場にある人は、視野を広げて、常にまわりを見渡す姿勢が大切なのだ。

 

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遠藤 保仁(えんどう やすひと)

1980年1月28日、鹿児島県生まれ。鹿児島実業高校卒業後の1998年に横浜フリューゲルスに入団。京都パープルサンガを経て、2001年にガンバ大阪に加入。数々のタイトル獲得に大きく貢献し、2003年から10年連続でJリーグベストイレブンに選出され、現在もガンバ大阪の中心選手として活躍中。また、U-20日本代表をはじめとして、各年代の日本代表に選出され2002年11月に日本代表国際Aマッチデビュー。その後は、日本代表の中心選手として活躍し3度のワールドカップメンバーに選ばれる。「日本代表国際Aマッチ出場数最多記録保持者」「東アジア最多出場記録」「2009年アジア年間最優秀選手」「2014年JリーグMVP」など数多くの記録をもつ。178㎝、AB型。

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『「一瞬で決断できる」シンプル思考』

(遠藤保仁/KADOKAWA)


「国際Aマッチ出場数最多記録保持者」など、数々の記録をもつ天才サッカー選手・遠藤保仁の「一瞬で決断できる」シンプル思考の原点に迫る! 年齢を重ねるごとに進化する「最速で最高の決断」をくだす思考のつくりかたの極意44。

 
この記事は書籍『一瞬で決断できる」シンプル思考』からの抜粋です。

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