キックオフの笛が鳴った途端、脳みそがフル回転を始める/遠藤保仁「一瞬で決断できる」シンプル思考(7)

キックオフの笛が鳴った途端、脳みそがフル回転を始める/遠藤保仁「一瞬で決断できる」シンプル思考(7) pixta_25284561_S.jpgなぜ体力測定B判定でも、日本代表として世界を相手に活躍できたのか?

数々の記録をもつ天才サッカー選手・遠藤保仁の「最速で最高の決断」をくだす思考のつくりかたの極意を大公開!
「やることが山積みで全然前に進まない」「頭の中がごちゃごちゃでつらい」などの悩みをかかえているあなた、本書『「一瞬で決断できる」シンプル思考』から考え方のコツを学びましょう。今回はその7回目です。

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前の記事「「執着は手放したほうがよい」は本当か?/遠藤保仁「一瞬で決断できる」シンプル思考(6)」はこちら。

 

試合以外は「考えない」を習慣にしている

試合中に頭をフル回転させなければ、的確に先を読むことはできない。それは、頭が疲れていると、プレーの質が落ちることを意味する。

だから、試合で最高のプレーをするために、試合以外ではできるかぎり頭を使わないようにしている。要は、サッカーをしているとき以外は何も考えていないのである。

「遠藤はマイペースだ」と言われることがある。あまり余計なことは何も考えず、他人にも必要以上に気を遣うことはしないので、そのように評されるのかもしれない。ただ、ひとつだけ断っておくと、僕は「自分のペース」で動いているだけだ。そういう意味では、僕から見ると他の人はみんな自分のペースで生きているわけだから、誰もが「マイペース」ということになる。サッカー以外で頭を使わないためには、自分のペースで時間を過ごすのがいちばんだ。

たとえば、自動車を運転するときも、マイペースを貫いている。一般道ならだいたい時速40キロのペースで走っている。時間がないときや妻に「もっと急いで」と言われたときは、制限速度の範囲内でもう少しスピードを出すが、時間に余裕があるときは40キロのペースを守っている。前に車がいない場合でも、スカスカの道でも同じである。チームメイトからは「後ろがつまっても気にしないんですか?」と訊(き)かれるが、こちらは法定速度内で走っているのだから気にしない。イライラするなら追い越してもらって全然いい。

少しくらい急いだところで信号につかまれば、進む距離にそれほど差は出ない。スピードを出しすぎて取り締まりにあったら目も当てられないだろう。何より自分のペースで走ることを徹底していれば、「前の車がのろのろ運転でイライラする」とか余計なことを考えることなく、平常心で運転ができる。

時間についても、「間に合えばいい」という考え方だから、相手に気を遣って早く到着するということもない。練習開始の時刻が9時だとすれば、8時59分につけば良しとするタイプだ。「新人だったら30分前に来るべきだ」と言う人もいるが、僕はあまり好きではない。

大切なのは、9時の練習開始の時点できちんと練習に入れる準備ができているかどうかだ。ケガ持ちの選手であれば練習開始時刻よりも早めに来て体をケアしなければならない。だが、9時からの練習にベストの状態で臨めるのであれば問題ないだろう。だから、遅刻しそうなときは急ぐが、そうではないときはあくまでも自分のペースで行動している。

 
「選択」と「集中」で自分が望む結果を得る

これらはほんの一例だが、一事が万事この調子だ。だから、「マイペースだ」と言われるのだろう。家に帰ればサッカーの話をすることはないし、練習や試合のことを考えることもない。試合前でさえ、なるべく何も考えず、チームメイトと冗談を飛ばし合っているくらいである。

その代わり、キックオフの笛が鳴った途端、脳みそがフル回転を始める。もちろん、ふだん何も考えないということは現実にはむずかしいが、「サッカーのときだけ存分に脳の力を引き出すことができる」、それが理想だ。

人生もオンとオフをしっかりと切り替えたほうが、毎日が充実する。何でも中途半端な気持ちで取り組むと、中途半端な結果しか得られない。

家に帰ってからも仕事のことを考えていたら、脳は疲れてしまい、大変なストレスがかかるはずだ。逆に仕事中に、家族のことなどプライベートなことを気にしていたらパフォーマンスは上がらない。仕事には最大限集中するけれど、仕事から離れたら、リラックスして仕事のことは考えないようにする。食事をするときは食事を楽しみ、誰かと話しているときは会話に集中する。そして、寝るときは何も考えずにベッドに入る。すべて自分のペースを貫く。

そうすることによって、自分が望む結果を得られるようになるのではないだろうか。「選択と集中」という言葉がある。重要なことは全体から見ればごく一部に含まれている。だからその部分を最優先で扱うことで結果が変わるというわけだ。

 

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遠藤 保仁(えんどう やすひと)

1980年1月28日、鹿児島県生まれ。鹿児島実業高校卒業後の1998年に横浜フリューゲルスに入団。京都パープルサンガを経て、2001年にガンバ大阪に加入。数々のタイトル獲得に大きく貢献し、2003年から10年連続でJリーグベストイレブンに選出され、現在もガンバ大阪の中心選手として活躍中。また、U-20日本代表をはじめとして、各年代の日本代表に選出され2002年11月に日本代表国際Aマッチデビュー。その後は、日本代表の中心選手として活躍し3度のワールドカップメンバーに選ばれる。「日本代表国際Aマッチ出場数最多記録保持者」「東アジア最多出場記録」「2009年アジア年間最優秀選手」「2014年JリーグMVP」など数多くの記録をもつ。178㎝、AB型。

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『「一瞬で決断できる」シンプル思考』

(遠藤保仁/KADOKAWA)


「国際Aマッチ出場数最多記録保持者」など、数々の記録をもつ天才サッカー選手・遠藤保仁の「一瞬で決断できる」シンプル思考の原点に迫る! 年齢を重ねるごとに進化する「最速で最高の決断」をくだす思考のつくりかたの極意44。

 
この記事は書籍『一瞬で決断できる」シンプル思考』からの抜粋です。

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