いまをまっすぐ進む大人世代に、服と一緒に歩む人生について伺う、こちらの連載。今回は料理研究家の藤野嘉子さんにお話をうかがいました。
*この記事は月刊誌『毎日が発見』2023年8月号に掲載の情報です。
ものを処分して小さな暮らしへ。着こなしも、通年白Tシャツが基本と決めています。
何にでも合うから白と決めるとラクなんです
料理研究家として40年以上も第一線で活躍してきた藤野嘉子さん。
実は59歳のときに自宅を手放し、賃貸住宅へ移ることを決めたとか。
「東日本大震災などの影響で夫のフレンチレストランをいったん閉め、子どもも独立したことがきっかけに。『年齢に合った暮らし方をしよう』と夫の提案で、半分以下の大きさの家へ移ったのです」。
そのためには、かなりのものを処分することが必要だったとか。それでも、年を取ってからよりも、まだ元気のあるうちに実行した方がいい、と決行。
「大きさより、どう暮らすかが大事だなと実感しました。ものを捨てられないタイプだったので、処分したら何かに固執しなくなり、心もスッキリしたと感じています」
服も相当処分されたとか?
「昔は柄ものや派手な色の服も多かったのですが、選別して処分の結果、いまは白のTシャツかブラウスをメインと決めています。そこにパンツかスカートを合わせるのが基本。白のトップスがメインだと、大体何にでも合うしラクでいいんですよ(笑)」
しかし年齢とともに体形の変化もあるもの。
そこでスカーフやブローチなどをプラスして目線を上に引き寄せ、体形をカバーするなどの工夫も。
引っ越してから新店を開店。
体力作りに始めたジョギングでは筋肉が増え、体が引き締まったのもうれしい変化。
「体は決して若くはならないですからね。そのときどきの体の変化を見つめながら、料理も他のことも楽しんでいきたい。だから走ることも続けたいですね。こだわりを捨てて新しいことにも柔軟に挑戦して、日々を楽しんで暮らしていけたら。そして頑固にならず、すぐ謝れるような素直な心を持っていたいです」
文/黒木博子 撮影/かくたみほ ヘア&メイク/枝村香織