最強の極道が足を洗って専業主夫に! そんな奇想天外な展開が大好評だったドラマ『極主夫道』(2020年)が映画化。高過ぎる主夫力で子育て、家事全般に命を懸ける元極道"不死身の龍"を再び演じるのは玉木宏さん。実生活でも父親になられた玉木さんに、役作りやこれまでのキャリアについて聞きました。
カーディガン37,400円、シャツ28,600円、Tシャツ38,500円/Gran Sasso、パンツ41,800円/EastHarbour Surplus
役作りのための準備は入念にしたいタイプです
――映画化にあたり準備したことなどはありますか?
大きなスクリーンで観ていただくために映画っぽい要素を意識しました。
例えばアクションなどはドラマのときよりずっと凝縮して。
迫力もスピードもかなり増していると思います。
もちろん基本はホームドラマですし、周囲が龍の言動に過剰反応して騒動が巻き起こるという"勘違いループ"的な要素は相変わらずですが。
龍の体に作り直すこともしました。
なにしろ元は"不死身"ですから、バキバキの筋肉ボディに(笑)。
アクションもよりハードになっているので、動けなければならない。
クランクインの1カ月半前から食事制限をしつつ、毎日、朝4時か5時に起きて有酸素運動。
そこから仕事に行って、帰りにジムでパーソナルトレーニング。
この作品の撮影中もずっと、計2カ月半くらい続けました。
かなりきつかったですが、できることはきっちりチャレンジしたい。
準備は入念にしておきたいタイプなんです。
―― 極悪地上げ屋役に吉田鋼太郎さん、保育園の園長役に安達祐実さんなどが新加入して、パワーアップしていますね。
やはり鋼太郎さんはすごいなと、改めて思いました。
声の圧力もすごいし、長年舞台をやってきた方だけに"見せ方"もよく分かっていらっしゃる。
引き込まれます。
安達さんも芸歴が長いだけではなく、いろいろな経験もされているから達観されているというか。
なんでもできる方だというのが、よく分かりました。
子どもが生まれてから、父性はより強くなりました
――捨て子のリュウを育てる場面では、実生活で父親になられた玉木さんの"父性"がにじみ出ているようでした。
3歳くらいの男の子ですから一箇所にじっとはしていられない。
でも、すごく頑張って演じてくれて。
彼のおかげで現場が和むこともたくさんありました。
きっと撮影中に太ったと思います。
みんなからお菓子で餌付けされていたから(笑)。
もちろん僕も父親になって、いろいろなことを体験して変わったと思います。
父性も強くなっていますね。
極道から足を洗った龍は、キャリアウーマンの妻・美久とその娘・向日葵との家庭を守るべく主夫道まっしぐら。そんなある日、家の前に置き去りにされた小さな男の子を育てることになったのをきっかけに、さまざまなトラブルが勃発!
――家事や育児は?
家に居るときは、普通にしています。
生活サイクルも前倒しにガラリと変わりました。
子どもにはちゃんと生活のリズムを作ってあげたいので、朝・昼・夜のご飯は決まった時間に、一緒に食べるようにしています。
子育てに限らず、何事も経験しておいた方が、演技に説得力が生まれると思いますので、自分としては、結婚をして子どもがいて、良かったです。
だからこそ、理解できる役柄もたくさんあるでしょうから。
――数々のドラマに加え30本以上の映画にも出演。典型的なイケメンからダークな悪役、そして今作のような二枚目半のキャラクターも演じ分けるキャリアを振り返って、いかがですか?
非常にありがたいです。
いまの状態を18歳のときに想像できたかと問われれば、できないですよねぇ。
20代前半は波に乗れるかどうかの瀬戸際で、"一生の仕事としてこれを選んで良いのか?"と悩んで、けっこうしんどかったです。
――現在はいかがですか?
逆に、引き下がれない(笑)というか、他のことができるのか?と思うと、できない気もするし。
やはりこれからも経験を積み重ねて、圧倒的な存在感を醸し出せるような、そんな人になるために、やらなければいけないこと、やりたいことがたくさんあります。
取材・文/金子裕子 撮影/下林彩子 スタイリスト/上野健太郎 ヘアメイク/渡部幸也(riLLa)