2021年12月22日(水)から26日(日)まで、「第90回全日本フィギュアスケート選手権」が開催されます。日本のフィギュアスケートイベントにおいて最も権威があり、数々の名勝負の舞台となった大会です。そこで今回は、羽生結弦選手、宇野昌磨選手の全日本選手権をスポーツ写真家の中村康一氏が振り返ります。
今期の全日本フィギュアスケート選手権はさいたまスーパーアリーナで開催される。
過去にも全日本選手権、世界選手権が何度も開催された会場であり、個人的には2014年の世界選手権、羽生結弦、浅田真央のアベック優勝が最も記憶に残っている思い出深い会場だ。
今回は、羽生結弦、宇野昌磨の過去の全日本での活躍を前後編の形で振り返る。
昨年の全日本選手権は代表取材となったため、フィギュアスケート取材を始めて以来、初めて撮影できなかったことが残念だが、今年は熱い戦いを現地で見届ける予定だ。
前編として、まず羽生結弦を取り上げたい。
12/21現在「出場する見通し」という報道がなされており、その現状についてはっきりした情報はないのだが、全日本選手権に出場するのであれば、12月22日の15時15分からの公式練習に参加する可能性が高い。
個人的には、無理をしてほしくない、との思いが強いが、一方で久し振りに生での演技を観たい、との気持ちが抑えられないのも事実だ。
演技を観られれば幸運、程度に考えておきたい。
2004年の全日本ノービスにて全日本デビューを果たした羽生結弦。
当時、大会前から「今年は凄い逸材がいる」と関係者の間で話題になっており、私も大いに期待して現地に赴いたことが記憶に残っている。
この年はその期待通り、圧巻の内容で優勝を飾ったのだが、その後、2年連続で優勝を逃すなど、必ずしも順風満帆だったとは言い切れない。
仙台、泉のスケートリンクが2004年から2007年までの期間、閉鎖されたことの影響が大きかったようだ。
しかしその後、2008年の全日本ジュニアで優勝すると、翌シーズンは破竹の勢いで勝利を重ね、一気にスターダムへとのし上がることとなる。
この時期の試合で強く思い出されるのは、シニアデビューとなったシーズンの名古屋でのNHK杯、震災の直前に鮮烈な演技で台湾の観客を魅了した四大陸選手権、そして、震災を乗り越え、世界的なスターの座を確立した2012年、ニースでの世界選手権。
今思い出しても胸が熱くなる演技だった。
全日本選手権に話を戻すと、2012年の初優勝後、4連覇を果たすものの、2016年以降は怪我などのために3年連続で欠場。
2020年の全日本選手権では、素晴らしい演技を披露した宇野昌磨の後に、完璧な演技で優勝を成し遂げるという絶対王者ぶりを見せつけた羽生結弦。
多くの選手が新型コロナ禍の影響で練習環境を整えられずに苦しむ中、異次元の存在であることを見せつけた。
今年は果たしてどうなるのか。
出場してくれることを期待して待ちたい。