7月31日・8月1日、愛知県の愛・地球博記念公園アイススケート場で開催されたアイスショー「THE ICE」。2年ぶりの開催となった本イベントには、宇野昌磨選手をはじめ、鍵山優真選手、田中刑事選手、佐藤駿選手、紀平梨花選手、坂本花織選手、宮原知子選手、松生理乃選手など、国内のトップスケーターが集結しました。今回はそんなTHE ICEの様子を、スポーツ写真家・中村康一氏にレポートしてもらいました。
THE ICEといえば最高峰のアイスショーとして定着しているイベントだが、昨年は新型コロナ禍の影響で中止。
2年ぶりの開催となった。
本来ならば、世界のトップスケーターを多数招聘する豪華なショーなのだが、現在の状況ではそれは叶わず、国内の選手のみによる公演となった。
とはいえ、THE ICEならではの作り込みがなされ、過去の公演にも引けを取らない、完成度の高いショーとなった。
オープニングナンバーは、宇野昌磨が過去にエキジビション、ショートプログラムで滑った"グレイト・スピリット"を、シェイ=リーン・ボーンの振付を生かしながら群舞にアレンジしたもの。
初回公演から素晴らしい完成度だった。
今年は群舞、コラボレーションプログラムの練習において、選手同士で意見を述べあい、完成度を高めていく様子が印象的だった。
外国人選手が多い場合、振付指導は英語で行われ、日本人選手は決められた通りに演技しがちなのだが、怪我の功名ともいうべきか、今年の出演者が日本人だけになったことが功を奏した印象だ。
コラボレーションプログラムの充実ぶりがTHE ICEの大きな魅力なのだが、今年は特に、宮原知子、田中刑事の二人による"ロミオとジュリエット"の演目が出色の出来栄えだった。
悲恋の物語を演じ切った二人の世界、今回のショーで最も感動的なシーンだった。
男子コラボの"BTS"、女子3名(紀平梨花、坂本花織、樋口新葉)による"女3銃士"も素晴らしかった。
実にTHE ICEらしい楽しい演目だ。
フィナーレで会場が一体となってダンスをするのもTHE ICEの恒例企画。
2007年の第一回のTHE ICEでは、観客が一緒に踊る、という演出がそれまでなかったこともあり、観客が戸惑っていたことを思い出すが、今ではすっかりTHE ICEの名物として定着。
観客が当たり前のように一緒に踊ってくれる姿に感動を禁じ得なかった。
「THE ICEが帰ってきた」という思いを強く感じた瞬間だった。