できないことは誰かに助けてもらえばいい/岩野響『15歳のコーヒー屋さん』

19.jpg10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断された岩野響さん。中学校に通えなくなったのをきっかけに、あえて進学しない道を選んだ15歳の「生きる道探し」とは?
著書『15歳のコーヒー屋さん』を通じて、今話題のコーヒー焙煎士・岩野響さんの言葉に耳を傾けてみましょう。

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前の記事「自分が「アスペルガー症候群」だと受け入れた瞬間/岩野響『15歳のコーヒー屋さん』(18)」はこちら。

 

誰にでも、自分の生きやすい場所はある

きっと、この本を読んでくださっている方の中には、いま苦しみながら学校に行っている人や、そういうお子さんをお持ちの親御さんなどもいらっしゃると思います。
学校に行くしかない、行かなければいけないと思っていた頃は、ぼくもとてもつらかったです。学生にとって、学校がすべてになりがちですよね。

だけど、いろいろな生き方があると知ったから、いまがあると思っています。もちろん、だから学校に行かなくていいという話ではなく、そういう生き方もあるというのを知るのと知らないのとでは、違うんじゃないかと思うのです。

いろいろな人に会ったり、話を聞いたり、いろいろな生き方を知ると、学校の中にいても、自分が生きやすい方法や場所を見つけることが大事だと気づけます。そうすると、変なところで落ち込まなくてすむのかなと思います。

「無理だ、できない」とあきらめてしまうことや、「もうダメだ」と、ふさぎ込んでしまうこともありますよね。
本当につらいときは、いっときそこから距離を置いたり、休んだりすることも大事でしょうが、じゃあ何ができるのかな?何だったら自分らしくやっていけるのかな?というのを、自分なりに考え続けたいと思っています。

ぼくの場合は、父と母とが一緒になって話し合え、どうしたらいいかを考え続けてくれたことが救いでした。といっても、父も母も「こうしなさい」とは決して言わないし、自分で考えるようにしてくれました。

同時に、両親に誘われるままにという部分もありましたが、あれこれやってみたのもよかったのかもしれません。小さなことでも行動してきたことが、いまにつながっているんだなと思っています。

 

自分の好きなことを仕事にしているから障害がない

コーヒー屋として忙しくも充実した生活ができるようになり、あんまり障害ということが気にならなくなりました。幸運なことに、自分の好きなことを仕事にさせてもらっているので、何も障害がないんです。

ぼくからしてみれば、アスペルガーはふつうなこと。他の人からしたらふつうじゃないかもしれないけど、ぼくからしてみればふつうで、障害とか関係なく、自分の世界で生きている、好きなように生きているのが幸せなのです。

たまに住所を書けないとか苦手なことにぶつかると、あぁ、こういうのが特性なのかな?と思いますが、できないことは誰かに助けてもらえばいいと思えるようになりました。
いま毎日生活できているのは、両親のおかげでもありますが、30歳を過ぎてまで一緒にいるのは申し訳ないと考えています。

両親が家で働いているのを見てきたというのもありますが、生きていくためには自分の食いぶちは稼いでいかないと、という気持ちもあります。

だからどんな状況でもなんとか生きていけるようにがんばっていきたいと思います。

 

撮影/木村直軌

次の記事「響は、そのままでいいー母から子へのメッセージ/岩野響『15歳のコーヒー屋さん』(20)」はこちら。

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岩野 響(いわの・ひびき)

2002年生まれ。群馬県桐生市在住。10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断される。中学生で学校に行けなくなったのをきっかけに、あえて高校に進学しない道を選び、料理やコーヒー焙煎、写真など、さまざまな「できること」を追求していく。2017年4月、自宅敷地内に「HORIZON LABO」をオープン。幼い頃から調味料を替えたのがわかるほどの鋭い味覚、嗅覚を生かし、自ら焙煎したコーヒー豆の販売を行ったところ、そのコーヒーの味わいや生き方が全国で話題となる(現在、直販は休止)。

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『15歳のコーヒー屋さん』

(岩野 響/KADOKAWA)

現在、15歳のコーヒー焙煎士として、メディアで注目されている岩野響さん。10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断され、中学校に通えなくなったのをきっかけに、あえて進学せずコーヒー焙煎士の道を選びました。ご両親のインタビューとともに、精神科医・星野仁彦先生の解説も掲載。

『15歳のコーヒー屋さん』

 

「HORIZON LABO」公式ホームページはこちら「HORIZON LABO」コーヒー豆の通販はこちらで行っています。

この記事は書籍『15歳のコーヒー屋さん』からの抜粋です
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