テニス選手・フェデラーの成功はアンガーマネジメントの成果/鎌田 實先生に聞く(1)

tenis.jpgこの厳しい時代を生きぬくため、時には怒(いか)ることも必要です。しかし、感情を暴走させるような怒りは、人間関係をめちゃくちゃにしてしまいます。

 

「人間は強い」と思い込まないで

しつような先生の怒りが何回も繰り返され、途方にくれた福井県の中学2年生が、自ら命を絶ってしまった。「指導死」なんてとんでもない。教育の名の下、子ども相手に感情を爆発させるのは絶対にダメなのです。怒っている自分をもう一人の自分が上から俯瞰(ふかん)しながら、「怒り」がプラスに働くようにしないといけません。

任務分担が大事。お母さんが怒ったら、お父さんが子どもを守るのです。自分たちの組織は信頼し合っているから大丈夫、自分たちの家族は愛し合っているから大丈夫、と思わないことです。「人間は強い...」。だまされないでください。強いけど、弱くてもろいのです。

 

怒り過ぎは命を縮める

怒ると、体の中でどんなことが起きるのか考えてみましょう。怒ると、交感神経が刺激され、血管が収縮して、血圧が上がります。循環が悪くなり、脳梗塞や心筋梗塞を起こすリスクが上がります。

「怒り」は一つのストレスですから、しょっちゅう爆発している人は、ストレスによって動脈硬化も起こりやすくなります。交感神経が過緊張になれば、リンパ球が減り、がんと闘ってくれるナチュラルキラー細胞も減るので、感染症にかかりやすくなったり、がんになりやすくなったりします。

 

アンガーマネジメントで人生を成功させる

アメリカでは、怒りをコントロールする方法であるアンガーマネジメントが流行っています。怒るとDV(夫婦間などに起こる家庭内暴力のこと。ドメスティック・バイオレンスの略)をしたり、怒鳴ったりする人は、裁判所から罰金やアンガーマネジメントの講座を受ける罰が下されたりします。

スポーツ選手の中には、アンガーマネジメントのレクチャーを受けて、飛躍的に成績を伸ばした選手がいます。有名なのは、テニスのロジャー・フェデラー、36歳。今年も全豪オープンを制し、ウィンブルドンで最年長優勝を遂げました。4大大会で19 回目の優勝です。長い間、一流であり続けてきました。

若い頃、彼はすぐに怒る人だったのです。ラケットを壊すなどマナーも悪く、人気もあまり出ませんでした。
フェデラーはその後、アンガーマネジメントのレクチャーを受けて、怒りをコントロールするようになりました。それから強くなったとされています。

次の記事「怒りを爆発させないための6秒ルール/鎌田 實先生に聞く(2)」はこちら。

鎌田 實(かまた・みのる)さん
鎌田 實(かまた・みのる)さん

1948 年生まれ。医師、作家、東京医科歯科大学臨床教授。チェルノブイリ、イラクへの医療支援、東日本大震災被災地支援などに取り組んでいる。近著に『遊行(ゆぎょう)を生きる』(清流出版)、『人間の値打ち』(集英社新書)、『カマタノコトバ』(悟空出版)、『「わがまま」のつながり方』(中央法規)。

この記事は『毎日が発見』2018年1月号に掲載の情報です。

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