注意が必要なのは?うんちで分かる腸内環境Q&A

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普段、私たちは自分の体の内部を直接見ることはできません。しかし、体内を通ってくる「うんち」には、体の内部を知るための情報がつまっているようです。
腸内環境研究者である福田真嗣先生に、いろいろ質問してみました。

前編「危ないのはどんなうんち?うんちの種類でセルフ健康診断」はこちら。


Q. 最近耳にする"便移植"って何ですか?
A. 患者の腸に、健康な人の腸内フローラを移植する治療法。米国では偽膜性大腸炎(ぎまくせいだいちょうえん)の患者が特定の条件を満たす場合、治療の選択肢に。日本でも、慶應義塾大学医学部消化器内科・金井隆典教授らのグループが臨床試験を進めています

Q. うんちの色にグラデーションがかかっている気がします。心配ありませんか?

A. 健康的で長い棒のようなうんちが出た場合、すべてが同じ色ではない場合も。先に出た方はやや黒く、後に出たほうは黄色っぽくグラデーションを描いている場合があります。これは、下の方が大腸内の滞留時間が長い分、黒みがかかっており、上の方は滞留時間が短くフレッシュなので、鮮やかな黄褐色をしているんですよ

Q. 快便のために日本人の腸にあう食生活ってありますか?
A. 漬物やみそ、納豆などの発酵食品は、微生物の力が加わっているので多種類の栄養素を摂取できます。不溶性と水溶性の両方の繊維を含む大麦や海藻類もいい。古来食べ継がれてきた食品の多くは、腸内フローラの改善にいいものばかりですね

Q. 腸内環境がよくなると、アンチエイジングできますか?
A. 年齢と共に、腸内環境が変化することは、分かっています。腸内環境をコントロールすることで、老化を緩やかにできるのではないかと考え、現在、アンチエイジングと腸内フローラに関する研究も進めています

Q.
食生活によって快便傾向に変化しますか?
A. 長年の食習慣が腸内環境を決めています。食習慣で腸内環境を改善するならば、数日であきらめないこと。健康のためにいい働きをする腸内細菌が好むものを食べて、少しずつ腸内フローラのバランスを整えるのが快便への近道です

Q. 排便の頻度で注意が必要なのはどんなタイプ
A. 3日以上うんちが出ない場合は便秘気味なので、食習慣の改善を心がけましょう。腸内に便が長時間滞留すると、本来排泄されるべきものが再び血液に乗って全身に回るため健康的とは言えません。お肌にも悪い影響が出やすくなります

Q. 腸内環境によいといわれるヨーグルト。自分に合ったものって、どうやって見つけたらいいの?
A. 同一銘柄のヨーグルトを最低でも2週間は食べ続けてください。途中で軟便になる、排便回数が増えるなどの変化が起こるかもしれませんが、次第に腸のコンディションが安定し、快調になればOK。あまり変化がなければ、違う銘柄を試しましょう

Q. 腸内環境と肌荒れ・にきびの関係って?
A. 腸内フローラからよくない物質が作られると、それらが腸から血中に移行し、全身へ。肌の細胞にも影響するため、肌がくすんだり、荒れたりしやすくなります。この状態が長く続くと、肌の状態が悪化し、老化につながる可能性も。食生活の改善や十分な睡眠を心がけてください。

あなたが気になっていた疑問はありましたか? こちらのQ&Aを参考に、腸内環境についての興味を深めてみてはいかがでしょうか。

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<教えてくれた人>
福田真嗣(ふくだ しんじ)先生

腸内環境研究者。慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任准教授。(株)メタジェン代表取締役社長CEO
1977年、茨城生まれ。2006年、明治大学大学院農学研究科を卒業後、理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、2012年より現職。2015年より科学技術振興機構先駆け研究者、2016年より筑波大学医学医療系客員教授、2017年より神奈川県立産業技術総合研究所グループリーダーを兼任。

 
この記事は『毎日が発見』2016年6月号に掲載の情報です。

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