尿漏れや便漏れなどの排泄トラブル。歳だから仕方ない......と後回しにしがちですが、健康で快適な暮らしを送るには避けては通れない問題です。そこで、ユニ・チャーム株式会社 排泄ケア研究所の梅林真紀さんに現代の排泄事情からケア方法までを伺いました。
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専用の排泄ケア用品を上手に使うことで、健康寿命も延びていく
排泄トラブルは、運動機能の低下や認知症の進行、衰弱などの老年症候群と深く関わっています。にも関わらず、多くの人が「たいしたことないから」と症状を放置しがちです。ユニ・チャームが行ったアンケートでも、月1回以上"ちょび漏れ"などの排泄トラブルを抱えている人で、ケアを「特に何もしていない」人が半数近い46.3%もいることがわかりました。
「排泄トラブルは恥ずかしくて、人に言いにくいためか、気づかないふりをしたり、年齢のせいにしたりして、対処しないという方が少なくありません。でも、しょうがないとあきらめて放置をしていると、健康寿命が短くなる可能性があります」と梅林さん。
なぜなら、尿漏れを気にして外出を控えると、衰え、足腰が弱くなります。家にこもりっきりで会話することもなく過ごしていれば、認知症にもつながります。また、排尿回数が増えやすいことから、夜中に何度もトイレに起きてしまい、睡眠時間が不十分になるとともに睡眠自体の質も低下。そして、トイレの回数を減らそうと水分補給を控えてしまうと、熱中症のリスクがあるだけでなく、食事も楽しめなくなってしまいます。
これでは、健康寿命を自ら縮めてしまうことに。
「紙おむつよりも布おむつが主流だった時代に子育てをしてきた現代の高齢者は、"排泄トラブル用の製品=大人用おむつ"と考える人が多く、介護施設や病院などで使われるイメージが先行して、使うことに抵抗があるようです」
ところが! すでに介護の世界では30年以上も前の1995年にエポックメイキングなケア専用製品が登場していました。それが"大人用おむつ"ではなく、"リハビリパンツ"。それまでトイレ排泄を補完するものはありませんでしたが、「寝たきりゼロを目指して」というスローガンのもとユニ・チャームが"リハビリパンツ"を発売して以来、高齢者の自立排泄が画期的に可能になり、排泄トラブルに明るい未来が広がったのです。
「最近のケア用品はまさに日進月歩。目覚しいまでの進化を遂げています。尿をすばやく吸収して外に漏らさないのはもちろん、消臭ポリマーの配合によりニオイで周囲に気づかれる心配もありません。つけ心地もベタつくことなくサラッとしていて、ナプキン型の軽い尿漏れパッド、パンツタイプともに年々薄くなってズボンなどのアウターにも響かないため、外から見ただけではつけているかどうかわからないものがほとんどです」
そう、赤ちゃん用の紙おむつが画期的に進化しているのと同じ。"リハビリパンツ"は20年以上の研究開発を重ね、今や"紙おむつ"と呼ぶより"下着"に近い存在に。これほど便利に快適に進化した排泄ケア用品を利用しないなんてもったいない! 上手に利用していくことが、健康寿命をのばすことにつながるのです。
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取材・文/岸田直子
梅林真紀(うめばやし・まき)さん
ユニ・チャーム株式会社 排泄ケア研究所 研究員。看護師。全国の施設・病院で排泄ケアの実態を調査しながら、紙パンツを使ったトイレ誘導・自立排泄支援の普及活動に携わる。元気なシニア向けの尿漏れ防止講座、紙パンツの使い方講座などの講師として全国を飛び回っている。
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