心臓は1日に10万回以上も収縮しています。その脈の乱れが「不整脈」です。
急に動いたときや、緊張、ストレスなどでドキドキするのは「怖くない不整脈」。安静時でもドキドキしたり、めまい、息切れ、動悸があるのは「怖い不整脈」かもしれません。
心臓と不整脈について、大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学教授の澤芳樹先生に聞きました。
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思い込みは禁物! 心臓病リスクを減らすには
心臓病を予防・改善する科学的な根拠のあるサプリメントや食品、成分はないと考えたほうがいいと澤先生は言います。心臓のトラブルを感じたときに「たいしたことはない」とか「そのうち治るだろう」と考えて、病院に行かずに市販薬やサプリメントで済ませるのではなく、病院できちんと心臓の検査を受けた方がいいということです。
「確実に言えるのは、喫煙や受動喫煙は心臓病リスクを高め、カフェインや過度のアルコール摂取が頻脈を起こすリスクを高め、高血圧、糖尿病、動脈硬化がある人は、心臓病のリスクが高いということです」
最後に心臓の健康にとって重要な自律神経を整える方法を紹介しましょう。心臓を働かせすぎてしまう交感神経の働きを抑えるためには、体をリラックス状態にするために副交感神経の働きを高めることが重要です。忙しくてイライラした時などには、深呼吸することで体をリラックスさせて、ストレスを和らげることができます。
呼吸以外にも、座ったままで副交感神経のスイッチをオンにして、体をリラックス状態に変えて心臓を休ませる方法がありますので、ぜひ試してみてください。
体をリラックスさせて快眠へ
今日からできるカンタン筋弛緩法
両腕を伸ばして手をひざの上に置き、10秒間固く握ったあと手のひらを開いて20秒間脱力する。これを繰り返す。
力を入れて両肩を上げて緊張させる→肩を下げて弛緩。これを繰り返す
ひじを曲げて握りこぶしを肩まで上げて、緊張→弛緩を繰り返す
つま先を伸ばして、脚の裏側の筋肉の緊張→弛緩を繰り返す。次につま先を上に曲げて脚の裏側の筋肉の緊張→弛緩を繰り返す。
取材・文/宇山恵子 イラスト/末続あけみ
澤 芳樹(さわ・よしき)先生
大阪大学医学部卒、医学博士。大阪大学大学院医学系研究科外科学講座心臓血管外科学教授。iPS細胞を用いた心筋シートの開発など世界最先端の研究を推進している。