45歳を過ぎたら自覚を! 老眼の症状は誰でも平等に現れます/老眼

pixta_13230475_S.jpg年を重ねるにつれ、誰もが感じるのが視力の衰え。いわゆる「老眼」ですが、これは加齢によって目の中の奥の水晶体が老化することから発症するもので、45歳前後を迎えるころから、ならない人はいない症状です。その仕組みや最新の医療技術、また、老眼になってからの生活を少しでも快適に送る方法などを、みなとみらいアイクリニック主任執刀医でクイーンズアイクリニック院長の荒井宏幸先生にお聞きしました。

 

老眼は細胞の老化によるごく自然な現象です

目のいい人も悪い人も、どんな人でも40代半ばくらいから、早い人だと30代後半から兆しが現れるのが、老眼です。最も典型的な症状としては、今まで見えていた近くのものが見えにくくなる、というもの。例えば、スマートフォンの画面や新聞を見るときに今までよりも目から離さないと見えづらくなってきたり、名刺などに印刷されている小さな文字がぼやけて見えにくくなったりしていないでしょうか。その他の自覚症状としては次のようなものが挙げられます。

●一定時間近くのものを見ていた後に遠くを見たとき、またはその逆の場合、目のピントを合わせるのに時間がかかる
●長時間近くのものを見ていると、目が疲れたり、かすんだりする
●薄暗いとものが見えにくくなる
●近視の人の場合、メガネを外したほうが近くのものが見やすい

近くのものが見づらいだけでなく、これらもすべて老眼の症状に当てはまります。

私たちの目にはレンズの役割をする「水晶体」と呼ばれる器官が備わっています。薄皮に包まれた直径1.5㎝ほどの透明な凸レンズですが、この水晶体の周囲を囲むようにたくさんの細い糸がついていて、目の中のピント調節を担う筋肉「毛様体筋(もうようたいきん)」というドーナツ状の筋肉につながっています。この毛様体筋が伸縮することによって厚くなったり薄くなったりしてピント調節をしています。近くを見る時は、毛様体筋がぎゅっと収縮して水晶体を厚く膨らませ、近くにピントを合わせようとします。

ですが、40代半ばくらいから、加齢と共に水晶体が変質して水分が減り、硬くなってきて、毛様体筋が一生懸命がんばっても厚みを変えるこができなくなります。それによってピント調節の機能が低下していくのが、老眼の仕組みです。骨や肌もそうですが、人間の細胞の機能は加齢によって少しずつ低下していきますから、老眼も誰もが避けることができない、生理学的なごく自然な現象なのです。

水晶体の変化はよく卵の白身に例えられます。たんぱく質の塊である卵は、ゆでたり焼いたりすると、透明だったものが白く濁ってきて次第に固まります。水晶体のたんぱく質も同じような変化を起こすのです。そして、一度硬くなると、再び透明になって柔軟性が戻ることはありません。

毛様体筋はそれ自体が動かなくなることはありません。ところがレンズの役割をしている水晶体が硬くなってしまって厚さを変えられなくなり、ピントを合わせることができなくなるわけです。つまり、老眼とは「ピント調節力機能の不全」という状態。10年ほど前からさまざまな老眼の治療法も登場していることから、老化現象の一つではなく、近年では病気の一つとしても考えられるようになっています。

 

次の記事「近視・遠視と、老眼は別物。仕組みからして違います/老眼(2)」はこちら。

取材・文/岡田知子(BLOOM)

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<教えてくれた人>
荒井宏幸(あらい・ひろゆき)先生

みなとみらいアイクリニック主任執刀医、クイーンズアイクリニック院長、防衛医科大学校非常勤講師。1990年、防衛医科大学校卒業。近視矯正手術、白内障手術を中心に眼科手術医療を専門とする。米国でレーシック手術を学び、国内に導入した実績から、現在は眼科医に対する手術指導、講演も行っている。著書に『「よく見える目」をあきらめない 遠視・近視・白内障の最新医療』(講談社)、『目は治ります。』『老眼は治ります。』(共にバジリコ)ほか。

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