多くの人が普段あまり意識していない"嗅覚"ですが、五感にも含まれる体にとって大切な感覚。「衰えてもそんなに困らないのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、嗅覚の衰えが原因で体に影響が出ることも。今回はそんな"嗅覚"についてみていきましょう。
嗅覚の衰えがうつ病の原因に!?
「ガッテン!」(NHK)では、注目を集めている感覚として"嗅覚"を大特集。香りによって無意識のうちに行動が左右されることなどが明かされています。また番組では「嗅覚チェック」と題して、道行く人にさまざまなものを嗅いでもらうという実験を敢行。街頭調査の結果では、30代をピークに匂いを嗅ぐ力が弱まるという結果が出ていました。
しかし一般的に嗅覚のピークは20代だと言われており、20代以降は衰えるだけなのだそう。鼻の奥にある"においセンサー"の細胞が年齢とともに減っていくため、嗅覚も年とともに衰えてしまいます。これには視聴者からも、「20代から五感のひとつが衰えていくとか怖すぎ」「気がついてないだけで、俺の嗅覚はもう衰えているのかもな。ショック!」と驚愕の声が。
「食欲がない」「外出が面倒」「元気が出ない」「人づき合いがいやだ」という不調にも、嗅覚が関わっている可能性があります。兵庫医科大学耳鼻咽喉科准教授の都築建三先生によると、嗅覚が衰えることで食欲不振が起こり、筋肉量の低下や虚弱体質へとつながります。さらに朝の匂い、夜の匂い、雨の匂いなどが感じられないことによって、時間・空間を認識する機能も低下。最終的にうつ状態になってしまう人もいるそうです。
"何の匂いかを意識する"ことで嗅覚の回復に
嗅覚が衰えたことで家の中の火災に気がつけないなど、命に関わる可能性もあります。都築先生は、なるべく早く自分で気がつくことが大切だとコメントしています。カレーやメンソール(ミント)を嗅いでみて匂いがわからない場合は、嗅覚が衰えている可能性が。嗅覚は加齢に伴い低下するため心配しすぎることはありませんが、気になる場合は耳鼻咽喉科に相談してみましょう。
また嗅覚を回復させるには、「犬になったつもりで、なんでも嗅いでみる」ことが大切。日常生活の中で身の回りの匂いを"何のにおいか意識しながら"嗅ぐことで、"においセンサー"細胞の増加につながります。
身近なものの匂いを意識することで、日々の暮らしも豊かになるはず。嗅覚の衰えを防ぎ、健康的な毎日にしたいですね。